二眼レフ中判フィルムカメラ『Rolleicord Vb』

CAMERA&LENS

先日のことになりますが、初めて二眼レフタイプの中判フィルムカメラ『Rolleicord Vb』を手に入れました。それまでフィルムやデジタル問わず、ニコンやキヤノン、オリンパス、富士フイルム、そしてペンタックスなど国産メーカーのカメラしか使ってこなかったこともあって、私自身、実は外国製の(いわゆる舶来品の)カメラを手にするのも初めて。

手に入れてからさっそく街へ繰り出して撮影してきましたので、今回改めてローライの名機『Rolleiflex』の普及機または廉価版ともいわれる『Rolleicord』を取り上げてみます。

(目次)

  • 『Rolleicord Vb』の概要
  • フィルムカメラを買い漁る
  • 中判フィルムカメラ
  • 『Rolleicord Vb』の購入
  • ローライコードは我が理想のフィルム中判か
  • 『Rolleicord Vb』で撮影した写真

『Rolleicord Vb』の概要

本ブログにおいてカメラやレンズなどの撮影機材や、登山系のギアを新たに入手したことに関して、その個人的な理由や経緯などの前置きが以前から無駄に長いと感じていたので、今回はまずこのカメラの主な概要と撮影してみた所感について触れていきたいと思います。ただ、そのあたりはさらっと触れる程度に留めておくつもりですので、より詳しい機材の詳細や使用方法、ローライの歴史などをお求めであれば、ほかに詳しく解説されているサイトも多いですのでそちらをご覧いただければ幸いです。

名機『Rolleiflex』の普及機として

さて『Rolleicord』(以下ローライコード)を語るうえで避けて通れないのが名機『Rolleiflex』(以下ローライフレックス)の存在です。ローライフレックスは今からおよそ100年前である1928年、ドイツの名門『フランケ&ハイデッケ社』が開発した二眼レフカメラです。
反射式(つまり鏡による)のレフレックスファインダーロールフィルムを用いて撮影することからこの名前がついたそうですね。撮影用レンズの上部にファインダー用レンズが別に配置されたその独特なフォルムから、いかにもレトロ感溢れる佇まいを感じますが、一眼レフタイプやレンジファインダータイプとも違う、実はとても理にかなった構造でもあります。

1932年に120フィルムを使用して撮影する『ローライフレックス・スタンダード』が発売され、その後もこまかな改良やブラッシュアップが繰り返されますが、基本構造や外観等はほぼ変わらずに進化を続けてきたことを考えると、すでにそのスタンダード型でカメラとしては完成されていたことを物語っていると言えるでしょう。

ローライコードはそのローライフレックスの普及機、砕いて言うなら廉価版として1933年に発売。
主な違いは撮影用のレンズで、ローライフレックスには高級なレンズが採用されていましたが、ローライコードには入門者向けとしてそれよりも安価なレンズが採用されています。

ローライコードVbの主な特徴

その後も “フレックス” と “コード” 二つのラインを製造しながらそれぞれ改良が施されていたわけですが、ローライコードは本機である5型(V)のタイプbが最終型となり、1962年から1967年まで製造販売されていたとのこと。

搭載されている撮影用の下部のレンズ(テイクレンズ)は3群4枚構成のシュナイダー・クロイツナッハ製クセナー75mm F3.5。実はⅢ型まではカール・ツァイス製トリオターが搭載されていたらしいですが、このクセナーもそれに引けをとらない描写性能と言われています。上部のファインダー用のレンズ(ビューレンズ)は75mm F3.2とテイクレンズよりも少し明るいレンズが搭載されていますので、撮影していてそこまでファインダーの暗さは感じません。

ローライ二眼レフのフォーマットサイズは『6×6判』ということで、120フィルムだと12コマの撮影が可能。フィルムの装填はフィルムを下部にセットし上部にある空のスプールにその先端を挟み込み、本体左側(構えた時は右手側)についている巻き上げダイヤルでフィルムのスタートラインが見えるまで巻き上げセットし、蓋を閉じます。多くのフィルム中判ではフィルムの巻き上げではダイヤル型ではなくクランク型レバーのものが多く、機種によっては一コマ巻き上げるごとにシャッターも併せてチャージされるタイプのカメラが多いですが、本機のダイヤルではフィルムを巻き上げるだけです。シャッターは正面下部にあるシャッターレバーを左側(構えた時は右側)にスライドすることでチャージされ、これで撮影可能な状態になります。

入門向けに様々な機能が省かれシンプルな操作体系のローライコード

多重露光のスイッチを入れないかぎりフィルムを巻き上げないとシャッターをチャージできない仕様で、さらに巻き上げと同時にチャージもされないので、フィルムを巻き上げてもチャージさえしなければシャッターにテンションが掛からず、機械的・物理的にも良いと言われています。

シャッターを切るにはシャッターレバーをチャージとは逆の左側にスライドさせます。(私の購入した個体にはショートレリーズボタンが付属しているので、それを上方に押し込めば切れます)
つまり一コマ撮影するのにかなり手間のかかる操作が必要となり、慣れるまではすこしギクシャクしました。

ライトバリュー(LV)方式

さて、本機の大きな特徴として、露光に関しては “ライトバリュー(LV)方式” が採用されています。
このタイプのカメラを操作するのは私は初めてで少し戸惑いましたが、仕組みが分かればかえって設定しやすいと感じました。

写真を撮っている方なら理解していると思いますが、露出に関して “EV値” というものがあります。露出計である被写体を計測すると得られる光の強さを表すものがEV値なわけですが、多くのカメラはその数値を利用してSSや絞り、フィルム感度の組み合わせを決定する目安にします。ライトバリュー方式では標準的な露光で撮影できる絞りとSSの組み合わせがその実際の光の強さをもとにして連動し固定された方式。つまり撮影者は露出計でEV値を求め、その数値をセットするだけで、適正露光となるSSと絞りのセットを手振れや被写界深度を考慮しながら選択して撮影すれば良いことになります。

1コマ撮影する工程の一例
フィルムを巻き上げる⇒ 露出計などでEV値を計測⇒ 計測したEV値を設定する(感度100の場合)⇒ 標準露出となるよう連動された絞り&シャッタースピードを状況に応じて選択⇒ 構図とピントを合わせる⇒ シャッターをチャージする⇒ シャッターを切る
LVはあくまで “感度100” としての数値なので、仮に “感度400” のフィルムを装填しているときは設定を2段分高く(つまり明るく)設定することで標準露出となるわけです。この方式は一見すると昨今のデジタルカメラではオート的な撮影設定に感じますが、フィルムカメラの場合は装填したフィルムの感度が固定されているので、実はこの方式のほうが撮影のテンポが良くなる気がしています。アンダー目に、またはオーバー気味に撮影したければLV値を変えることで対応できますし、ただでさえレトロなフィルムカメラらしい撮影時の上記のような “お作法” が多いので、この方式は撮影者にはありがたい方式だと思いますし、そのあたりも入門機としての本機の良さがと出ている思います。

撮影体験と本機のその他の特徴

二眼レフカメラということで基本的には上部のビューレンズを入った光が鏡に反射され、それがスクリーンを通って投影されたウエストレベルファンダーを覗き込みながら撮影することになります。昨今のデジタルカメラやレンジファインダー方式のフィルムカメラも含めて、この撮影体験は他では得られない本機のようなカメラの大きな特徴です。

私はTTLの光学式ファインダーの一眼レフもEVFのミラーレスも、フィルムのレンジファインダーも使ってきましたが、そのどれとも “見え味” の違うこのウエストレベルファインダーが撮影していて楽しいと感じます。まるで目の前の景色が手元の小さな箱の中に収められているような感覚で、撮影しなくてもファインダーを見ているだけでワクワクします。




ただ構造上、左右反転して投影されているため、慣れるまでは構図や水平をスムーズにとれなくてイライラしますが、慣れてしまえば唯一無二の撮影体験が楽しめます。ピント合わせは中心部の二重像を合わせるよくあるタイプ(二重像合致式)で、細かくピントを追い込むためのルーペも内蔵されているので、かっちりとした風景写真でも十分活躍してくれるカメラです。

二眼レフの構造上の弱点として、一眼レフとは異なりビューレンズとテイクレンズが上下で別なので、近接撮影ではパララックスの問題があるのでその点は考慮しないといけませんが、風景写真や中遠景などではまず問題なく撮影できると思います。

まるで箱の中に目の前の風景が収められている感覚

SSは1秒から最高速1/500秒(バルブ可)で、レンズシャッターを採用しているので機構的なブレはほぼ皆無に近いことは利点ですが、それと引き換えに一眼レフのようなミラーやシャッターの心地よいショックがなく、あの官能的なシャッターを切ったときの “パシャ” という感触はありません。

レンズがローライフレックスのようなF2.8レンズではなくF3.5ということで設計に無理がなく、それによって本体の小型化および軽量化が達成されています。後述しますが、私は安価で入手できる点というよりも小型軽量ボディということでローライフレックスではなく本機を選んだとも言えます。
露出計も内蔵されていない完全機械式ということで、もちろん電池がなくても駆動するカメラであり、メンテナンスさえしっかりとすれば一生モノと言えるカメラだと思います。ただしフィルムがこのまま高価ながらも入手可能で、現像してくれるラボや店舗が永続するという条件ですが。

本機の独自の特徴としてファインダーフードやスクリーンを取り外して交換することができる点も特筆すべきポイントで、このあたりは上位機種と同等といえます。またV型から、オプションパーツを使えば撮像面を小さくして最大24枚撮影可能になる機構が採用されていますが、Ⅳ型からピントダイヤルが右手操作から左手操作に変更されたのはそのオプションパーツ用のスペースを確保するためだったようです。よって基本的にはカメラを構えて操作するときは右手でカメラを下から支えて持ってシャッター操作、左手でピントの操作を行うほうが持ち変えずに撮影できます。

完全機械式の工業製品としての圧倒的な風格

フィルムカメラを買い漁る

さて、本機の概要などはこのくらいにして、ここからは個人的な本機の購入に至る経緯に関する内容です。本機種をご検討されている方からしたら、それこそどうでも良い内容になります。

フィルムとデジタル

デジタルカメラが一般的になる以前から写真を楽しんできた古い世代の私にとって、フィルムカメラは古き良き思い出がつまった存在。デジタル移行後はその利便性やフィルムとは違うデジタルならではの感光特性がもの珍しくて、しばらくフィルム写真は撮らない時期が続きました。フィルム写真と比べてデジタル写真は撮影後に現像ソフトで色調や諧調、露光量、ノイズ処理などをきめ細かく追い込む自由度に富んでいたり、手軽にインクジェットプリンターを使用して出力できる楽しみ方が私にとっては新鮮でした。

デジタル写真と違ってフィルム写真は自らフィルムから手焼きプリントを仕上げるような場合は別として、基本的には最終的な仕上がり(色調や諧調など)は装填したフィルムが持つ特性に委ね(悪く言うと支配され)、自らは撮影だけに集中して撮っていたように思います。人間あまりに自由過ぎるとそれすらも不満に感じるのか、利便性の高いデジタルばかりに慣れてしまうとフィルムが持つその不便性みたいなものが妙に懐かしく思えて、最近はそれが逆に新鮮に思えてきています。

昨今の各社のデジタルカメラには私のような世代の方々の懐古主義的趣向性や、逆に生まれたときからデジタル写真で溢れかえっている若い世代の方々にも向けて、フィルムライクなプロファイルが備わっているものも増えてきました。実際、私が現在メインで使っている富士フイルムのカメラにはその名も『フィルムシミュレーション』なるプロファイルを備え、まるでかつて実在した富士フィルムの銘柄を交換しながら色味の変化を楽しめるような機能が搭載されています。

しかし、若いころからフィルム写真を撮ってきた私にとってそれはやはり “フィルム風” であり “フィルム調” であって、あくまで疑似的であり、本物のフィルムとはまったく違う写りに感じてしまいます。もちろん本家の富士フイルムも『フィルムシミュレーション』は銘柄の “完全再現” とは謳ってはおらず、あくまで “オマージュ”として象徴的に名づけているようです。

最近の機材導入

デジタルはデジタル、フィルムはフィルム。
どちらが良いとかどちらが悪いとか、そもそもそういう比較対象などではなく、私はそれぞれの良さがあると思っています。だから個人的にはデジタルはデジタルらしく高解像で高精細、暗部の強さを活かした撮影用と割り切り、柔らかさや独特の諧調性を求めてフィルムライクな写真を残したいときはそれこそそのままフィルムを使うのが最も理にかなっている、最近は特にそう思うようになりました。

個人的な話で恐縮ですが、2024年から本記事を執筆している2026年の現在まで、新たに購入したデジタルカメラというものは実は1台のみです。それがメインで使っているGFX用のサブ的なカメラ、コンパクトカメラという立ち位置で中古購入した富士フイルムのレンズ固定式コンパクト『X100V』。その『X100V』とて今から6年前にリリースされたカメラです。

撮影対象にもよるとは思いますが、デジタルカメラに関してはもう進化の飽和状態にあると個人的に感じています。少なくとも私が撮影するものに関してはもはや必要にして十分と感じているということです。だからか、最近では各メーカーから新しく発売される新機種があっても徐々に興味が薄れつつあって、逆にこの期間に私は以下の4台のフィルムカメラを購入してしまいました。

2024-26年の間に購入したフィルムカメラ(購入順)
OLYMPUS 35SP
YASHICA ELECTRO35CC
PENTAX 645N
・ZENZA BRONICA GS-1 (不具合のため返品済み)

※機種名をクリックすると過去の関連記事に飛びます。

OLYMPUS-35SP ~オリンパス35SP フィルム再考~

以前に本ブログでも取り上げたことのあるカメラも含めて、この2年ほどの間にこれだけのフィルムカメラを買いました。どのカメラも今となっては安価に手に入るものばかりではありますが、あまり機材(とくにメイン機)を頻繁に買い替えない私からすると自分でも“買い漁っている”とさえ感じます。もちろんのべつ幕無しに買っているわけではなく、それぞれ目的があって手にしたわけですが、自分でも節操がないとは思います。

『GS-1』と『PENTAX 645N』

実は昨今の飽和状態で個性に乏しいと感じる最新のデジタルカメラに比べて、往年のフィルムカメラのほうがいまの私にとってはとても興味深いものに感じます。1台1台に他には無い明確な個性があって、その個性が装填したフィルムと化学反応を起こして、デジタルカメラには決して残せないであろう写真が撮れる。デジタルには無い実物、物体としての “もの”“もの” とが引き起こすそのようなある種のケミストリーがフィルム写真の良さなんではないかと最近は思うのです。

『Yokohama Film-Logue』みなとみらい~山下公園

中判フィルムカメラ

油彩画の下絵、スケッチ代わり(結局私に画の才能はなかった…)に写真を撮りだした若かりしころはオリンパスやニコンの35mm判のフィルムカメラを使っていました。デジタルへ移行する数年前に知人から借りた国産の645判『Mamiya645』の初期型が初めての中判フィルムカメラで、それまで使ってきた35mm判とは異次元の写真に興奮したことを今でも覚えています。

同一写野における焦点距離の長焦点化に起因する圧倒的な解像度や立体感、そして諧調。もちろんそれらは当然なことでしたが、私は単純に一コマの面積の大きさに圧倒されました。いまのデジタル写真のようにモニター上で1クリックしただけで画像が大きく表示されるわけではない当時のフィルムは “もの” としての大きさが唯一。もちろん大きく引き伸ばしてプリントすれば当時も大きく鑑賞できたわけですが、オリジナルのフィルム原版自体の大きさは何物にも勝る感動が残りました。当時はさらに大きなフォーマットへの憧れもあって通称 “バケペン” と呼ばれる『PENTAX 67』の購入も考えたことがありましたが、ちょうどデジタルへの移行と重なって、結局手に入れることはありませんでした。

67判 ZENZA BRONICA『GS-1』にて撮影

あれから何年経ったでしょうか…。
またフィルムでも撮ってみたい、そう思い始めてまだ所有していたニコンのFMやFM2、F-801sなんかをときたま押し入れから引っ張り出して使ってみると、そこにはデジタルにはない新鮮さをあらためて感じました。年にフィルム数本程度の使用ではありましたが、周りを見てみればすべてが高解像、高精細のデジタル写真で溢れかえっていて、写真ははたしてその一方向だけで良いのだろうか、個人的にそんな風に思っていた時期でもあって、35mm判だけでなく改めて中判フィルムで撮ったら楽しめるのではないかと思って2024年後半に『PENTAX 645N』を購入。そして昨年2025年には憧れの67判であるゼンザブロニカの『GS-1』も購入。残念ながらこの『GS-1』はフィルムの巻き上げがスムーズではなく、結局初期不良という理由で購入店に返品しましたが、中判フィルムの楽しさを改めて感じました。

『Rolleicord Vb』の購入

比較的安価に交換レンズを3本ほど揃えて、広角・標準・中望遠とシステマチックに撮影できるようになった我が『PENTAX 645N』。645判とは言え『PENTAX 645N』はフィールドカメラとしてペンタックスが売り出していたシステム。しかし昨今のミラーレス化されたデジタルカメラのコンパクトさや軽量さに慣れきった体たらくな今の私からすると『PENTAX 645N』はそれでもまだ大きい…。重さ(本体だけで約1.2kg)はなんとか許容できるのですが、ワインダーを兼ねる大きなグリップを含めるとシステムとしてかなり嵩張って、取り回しに不満が出てきました。

『PENTAX 645N』はフィルム中判カメラの最後発という時期に出てきたカメラなので、それこそ高性能なデジタル一眼レフカメラと遜色ないくらいの機能を備えていて、撮影していて安心感がありました。しかしカメラや登山用のバッグの大部分をしめてしまうその決して小さくはないボディは、デジタルと併用して撮影したい私からすると持ち出す機会が徐々に減ってきていました。
もう少しコンパクトなフィルム中判が欲しい…。

そこで白羽の矢が立ったのがローライフレックスでした。
とは言えそれまで二眼レフカメラなど使ったことがなかったですし、いきなり2、30万円もするローライフレックスはおいそれとは購入できない。そんなときに某カメラショップで程度の良いローライフレックスの廉価版、ローライコードの最終型Vbを見つけました。

ローライコードは我が理想のフィルム中判か

軽量コンパクト

ローライコードをはじめとした二眼レフカメラはレンズ一体型でしかも縦型なのでとてもコンパクトで、一眼レフのように装着したレンズが前方に飛び出ていないので、収納時や運搬時に嵩張らないのがすごく気に入っています。とくに私はフィールドに出て撮影するタイプなので、この取り回しの良さは何物にも代えがたいものがあります。

『ローライコードVb』に関しては重量は約900gちょい。
『PENTAX 645N』は純正645マウントのパンケーキ型の最もコンパクトで軽量な75mm F2.8を装着しても合わせて1.5kg近い重量になります。さらにレンズ交換式カメラとして広角気味の交換レンズも持っていきたくなるのでさらに重量が増してきます。ローライコードのこの軽量さ、コンパクトさはいまの自分にはぴったりマッチしていて最適なフィルム中判になりました。

また『PENTAX 645N』は最後発がゆえに電子部品が多く使われているカメラでもありますから、そのあたりの基板に不具合が出たら今後修理が可能なのか、その点の不安要素も加味しなければなりません。



初めての6×6判

私にとってこのカメラが初めての『6×6判フォーマット』のカメラになります。今まで様々なフォーマット、様々なアスペクト比のカメラを使ってきましたが、そのどれもが長方形でした。横に長い、または縦に長い、構図を取るときにまずどちらを選択するか、それが被写体に向き合ったときに最初に決めることでした。“構図の妙” の源泉はこの縦横とその比率から成り立っている、私はそう思ってアスペクト比は撮影する際の重要な要素という認識をもっています。

しかし正方形である『6×6世界。そこに誇張やデフォルメは存在しません。考えることがひとつ減るということは、実は被写体をシンプルに見て捉えることにも繋がると感じました。

もちろん120フィルム1ロールで12カットしか撮影できないことも、1ロールで16枚撮影できる645判とは撮影自体の取捨選択が大きく変わりました。撮影可能枚数が4枚減ったことで “より被写体に向き合う気持ち” が増して、どのように写真として成立させようか、撮影する前にしっかり考えるようにもなりました。これは間違いなくデジタルのようにとにかく気になった被写体や構図を見つけたら “とりあえず撮ってみる” のとはまったく違う撮影体験です。もちろんそれはフィルムとデジタルの優劣ということではなく、あくまで “撮影体験の違い” ということですが。

立体感と描写性能

その正方形フォーマットと合わせて、撮影された写真を眺めてみるとその立体感を強く感じます。75mmという中望遠と言える焦点距離なのに、画角(写野)は35mm判では45mm相当。45mmというと標準画角といえる50mmよりも少し広角、40mmほどでありませんが広がった印象があります。でもあくまで焦点距離は75mm。ここに独特な立体感や35mm判とは違う圧縮感による視覚効果を感じます。

搭載されているシュナイダー製のクセナーの写りに関しても必要にして十分と感じますし、もちろんツァイスのプラナーを搭載したローライフレックスとサイドバイサイドで比較したら劣る部分もあるかと思いますが、フィルム時代と違って今は解像感や高精細を求めてフィルム中判を使っているわけではないので、私はとくに問題は感じませんでした。

『Rolleicord Vb』で撮影した写真

それでは最後に本機を携えて都内の風景、街並みを撮影した写真を掲載いたします。フィルムは現在入手しやすいフィルムの中で個人的に最も好きな『Kodak GOLD 200』を使用しました。デジタル化に際しては、いつものようにデジタルカメラでデュープ撮影し、Adobeのソフトウェアを使って編集しました。

Film-Logue (PENTAX 645N、フィルムデジタイズ)

Rolleicord Vb + Kodak GOLD 200

Rolleicord Vb + Kodak GOLD 200

どちらかというとこのカメラは街を歩きながらスナップするにはすこし不向きなような気もします。というのも先に触れたように撮影する “お作法” によって一コマ撮影するにもとても時間のかかるカメラです。私はどちらかというスナップというよりも街やその街を形成している郊外の風景をかっちりと撮影するのに向いているカメラと思いましたし、なにより私自身がスナップ写真が苦手ということもあって、このカメラにはそのような目的で使用するつもりで購入しました。

もちろん軽量でコンパクトな筐体ということで今後は積極的にネイチャーの現場でも持ち出して撮影してみたいとも思っています。

Rolleicord Vb + Kodak GOLD 200

Rolleicord Vb + Kodak GOLD 200

デジタル写真全盛のこのご時世において、まだまだデジタル写真にはないフィルム写真の良さがあると思っています。このフィルムの独特の風合い、絶妙な柔らかさ、そして質感。その中判特有の立体感も含めて、ここに掲載した写真はデジタルでは表現不能なものです。

フィルムや現像代の高騰、現像してくれる街の写真屋さんやラボも減ってきている状況で、フィルム写真愛好家にとっては厳しい現実が突き付けられているように感じる昨今ですが、少しでも長くフィルム写真を楽しんでいける一助に、そしてローライをはじめとした精巧なクラシックカメラの魅力をお伝えし、読者様の購入または検討の一助にこの記事がなれば幸いです。

Rolleicord Vb + Kodak GOLD 200

Rolleicord Vb + Kodak GOLD 200

 

今回の記事はここまでです。
最後までお付き合いいただき、まことにありがとうございました。