今回は久しぶりの天文記事となります。
いきなり冒頭で恐縮ですが、今回の天文ネタはあくまで個人的な備忘録として残すためのものです。読者様にとって有益な内容が伴っていれば良いのですが、長いこともあって時間があるときに気にかかった部分だけサクッと目を通していただければ幸いです。
何卒宜しくお願い致します。
- はじめに ~私は天体写真を止めていない~
- 安定的な撮影を求めて ~貴重な晴れ間を有効的に~
- 準備の具体例 ~最低限の買い増しと買い替え~
- 『ε-130D』へのテコ入れ ~絞り環と筒へのある疑念~
- 群馬と長野へ遠征 ~テスト撮影の実際~
- 今後の天文活動について
はじめに ~私は天体写真をやめていない~
昨年2025年は個人的に天文活動(天体写真)をほとんど出来ずに辛酸をなめた年となってしまいました。撮影に関してはともに天城高原への遠征となった5月と8月のわずか2回のみ。しかも5月の遠征時はみごとに曇られてまともに撮れず、実質的には8月の1回だけと言っていい結果でした。このブログも天文に関しての記事はその8月の遠征時のときのものだけで、天文に関してはもはや開店休業状態と言えます。
「このブログ主はもう天文活動を止めてしまったのか」と思われても仕方がない活動状況でありますが、筆者から今風に言わせていただくなら、兎にも角にもそう、「全部天気のせい」なのです。もっと言わせていただくなら、とくにここ2ヶ月は結果こそ伴いませんが実は “天文活動しかしていない” 状態なのです。
安定的な撮影を求めて ~貴重な晴れ間を有効的に~
さて、ではこれだけ晴れない状況を鑑みて、我々天文屋 (とくに現役世代にとって) はその貴重な晴れ間でいかに有効的に撮影するかを考えなければいけません。もちろん単純に撮影鏡を増やすという手段があります。たとえば多くの天文屋さんがやられているように同一対象を2鏡筒 (いわゆるツイン) で撮影すれば2倍の露光時間を確保できます。たとえば2台体制でそれぞれ別対象を撮影すれば1晩で2つの作品を残せます。お金さえかければそのような対策が最も簡単で効果的と言えると思います。
しかし筆者のように底辺を這いつくばって生きている人間にとってそうポンポンと天体望遠鏡なんて買えるものではありません。ではどうするか。それは今までの自身の撮影を振り返ってみて改善できるところに見直しをかけるということ。いわゆるいまや古典的とも言える “PDCAサイクル” というやつです。
たとえば可能な限り現地でのムダな時間を少なくして効率的に撮影したり、捨てコマを減らしたりしてトータルで2倍の露光時間を確保できたとすれば、それは望遠鏡のF値が “2倍” になったのと同じことになります。カメラレンズや望遠鏡に詳しい方ならご存じかと思いますが、F4のズーム光学系をF2.8に買い替えることにどれだけのコストがかかることか。口径を10cmから15㎝に買い替えることにどれだけのコストがかかるでしょうか。どちらも数十万はくだらないでしょう。ですからまずは鏡筒などのメイン機材を買い替えたり買い増したりするのではなくて、現状の機材はそのままに、今後の撮影でより効率的に撮影できるように泥臭くて地道な準備をすることにしました。
幸い筆者がメイン鏡筒として使用しているタカハシのニュートン式反射望遠鏡『ε-130D』は焦点距離430mmということで、4月の新月期辺りまで、つまりさそり座のアンタレスなどが上って来るまでは撮影できる星雲がない時期でしたので、系外の小さな銀河群をテスト的に撮影しながらその準備期間にしようと決めました。結果、今年はすでにテスト撮影として昨年を上回る3回 (うち連夜含む) の遠征を行いました。
準備の具体例 ~最低限の買い増しと買い替え~
お金をかけない対策とは言え、さすがに出費ゼロとはいきません。今回の準備にあたり最低限の買い増しや、買い替えだけはしました。具体的には以下のようなものです。
①撮影用PCの買い替え
筆者は撮影現場には14インチのラップトップPCを持ち込んで撮影に使っていました。ただ筆者の場合、撮影に使うと言っても極軸合わせ用としてQHYCCD社の『ポールマスター』と、撮影中のガイドを担っていたソフトウェアである『PHD2』を動かすためだけでした。撮影自体はIR改造を施したデジカメに昔ながらのタイマーリモートコントローラーを繋いで制御及び撮影をしていました。しかしここ数年そのパソコン自体が古いこともあって内蔵バッテリーが弱ってきたためか、とくに寒い時期なんかは電源を繋いでいても途中で落ちたり、動きがカクついて使い物にならなかったりで、それでもなんとか騙し騙し使ってきました。それを今回、天文用の撮影ソフトの導入に伴って買い替えることにしました。
昨今では例えばZWO社の『ASIAIR』のように現場にPCを持ち込まずとも撮影環境を整えられる機器も登場していますが、そのようなものを導入するにしても筆者にはもう少し先と考えました。
②天体専用撮影ソフトウェアの導入
上述しましたが、私はいまだに撮影にはタイマーリモートコントローラーを繋いだ古いデジタル一眼レフの天体改造機 (Canon EOS6DとNikon D7100) を使っています。しかしそもそもこの制御方法だと画像の確認はカメラの背面液晶でのみ行うことになり、ピントや構図、そしてガイドの状態などを確認するたびに撮影を一時中断して、カメラの再生ボタンを押して確認することになります。デジカメの構造上その確認中はもちろん撮影は出来ませんし、確認が終わってカメラから手を放してもその揺れが収束するまで次の撮影には入れません。つまりその間の貴重な撮影機会を逃していることになっていました。
しかも古いデジタル一眼レフには今時のカメラには当たり前にあるバリアングル機構やチルト機構などない固定式の背面液晶です。その画面を確認するのに撮影している対象によってはそれこそ体を仰け反りながら確認しなければなりません。
そこで今回PCの新調 (と言っても中古PCですが) と同時に某天体撮影用のソフトウェアを導入することにしました。これによりPCのより大きな画面で撮像を確認できますし、その確認中も撮影を続けることができます。さらに機材を組み終わってしまえば撤収するまでその機材に一切手を触れずに済むことになります。
もちろん昨今の天文用撮影ソフトウェアの支援機能のひとつの特徴であるいわゆる『プレートソルブ機能』の効果は絶大で、今までようにテスト撮影しながらチマチマ動かして構図を合わせこんだり、アライメントを数回繰り返す必要もなくなりました。たとえば前夜や過去に撮影したコマの撮り増しなんかをする場合も、その過去画像を解析して一発でその構図になるように望遠鏡を向けてくれるので、そのぶん露光時間が増えることになります。ソフトウェアを導入してからのテスト期間中すでに数回使用していますが、幸いビギナーにも扱いやすいUIだったこともあり、撮影に関する大まかな使用方法はほぼマスターできました。
③カメラの電源供給の変更
実はいままでカメラの電源は満充電させた純正の専用バッテリー (あのカマボコ型のやつ) を数個持っていって、無くなりそうになったら都度交換する方法で賄っていました。しかし撮影ソフトウェアの導入によってカメラの電源を途中で落とすわけにはいかなくなったので、所有するカメラに対応したいわゆる専用カプラーとACコードをニコンとキヤノンの両方揃えました。
専用バッテリーなんかもそうですが、筆者は電源系統に関しては “純正一択” だと思っているので、これが意外と小さくはない出費になってしまいました。ただこの安定的な供給によって一晩中カメラの電源をいっさい気にする必要がなくなったのはやはり大きくて、睡眠撮影するにしても途中でバッテリーが切れて撮影が止まっていたという失敗のリスクが減りました。
④ポータブル電源の買い増し
カメラの電源供給方法の変更に伴い、いままで1台で賄っていたポータブル電源を新たに買い増ししました。今回購入したのはポータブル電源としては定番のひとつと言っていいであろう『Jackery』の容量512Whのものになります。湿度の多いときは結露防止のため自作した乾燥空気送風装置も稼働するので、実はもっと大容量のものを買わないといけなかったのですが、昨今の晴天率の悪さを考えて連夜で撮影する機会もそうそうないとも思ってもいるので、必要にして十分なような気もしています。
もちろんこのような機器は地震の頻発するわが日本においては防災の観点からも有用なので、天文以外でも活躍してくれるものでもあります。
ふたつの異なるポータブル電源を運用してみて分かったのは、バイアスノイズを含むダークフレームを撮る際に、ライトフレームを撮った時と同じポータブル電源で給電して撮らないとダーク減算したときに合わなくなるような気がしました。筆者はバイアスフレームは扱わずフラットダークのみフラットフレームから減算する運用をしていますが、ダークとバイアスを分けて扱っている場合は少なくともバイアスだけは同じ電源で取得する必要があるのかなと感じています。
⑤フラット用の光源の買い替え
フラット用の光源には安価なB4サイズのLED発光パネル(いわゆるトレース台)を使ってきましたが、過ってスパークさせてしまって買い直しました。周辺減光の大きいイプシロン光学系はフラット補正と光軸調整が肝と個人的に思っています。そのフラットの取得方法についてはまだまだ今後も試行錯誤すると思いますが、ひとまずのところデジカメのミラーボックスケラレ以外はそこそこ合っているように思うので、その辺りはボックスケラレの無い専用の冷却CMOSを導入してからでしょうか。最近は天文用に開発された安価で軽量な海外のフラットジェネレーターも出てきているので、いずれそのような専用品も検討してみようと思っています。
⑥USBハブによる配線関係の見直し
新調した撮影用PCのUSBの口数の不足もありましたが、そもそも望遠鏡から垂れ下がる配線の数が多くなってきて、それが導入や撮影中に絡まったり引っかかったりすること、そして何より見てくれ的に思わしくないのでHUBを上面プレートにマスキングテープで張り付けて配線をまとめました。実際にはトッププレートだとEAFと干渉するので、K-ASTEC社製の傾斜ハンドルが付いていたプレートに付けました。このHUBにデジカメ、EAF、ガイドカメラ、ガイド鏡用のヒーターバンド等のUSBをまとめて接続し、HUBからUSBの延長ケーブルでPCに接続することで足回りの配線をスッキリさせました。
以上が年明けからチマチマやっていたことになります。
何やかんやで結構出費が積み重なってはいますが、筒を買い替えたり買い増したり、天体専用カメラ、赤道儀などを新規で購入するよりはよほど安価で済みました。現場での美しい星空は待ってくれません。晴れていてもいつ雲が来襲するやもしれません。1分1秒でも撮り逃さないよう、このような対策が功を奏せば必然的にいままでよりも露光を稼げるようになってくれるはずだと思います。
『ε-130D』へのテコ入れ ~絞り環と筒へのある疑念~
2023年に導入した筆者のメイン鏡筒である『ε-130D』についても少しだけテコ入れをしました。と同時に最近この筒の気になる点もあります。
①主鏡の絞り環作成
折角ならとこの準備期間にもうひとつ、ずっと棚上げしていた事案を遂行しました。それが『ε-130D』の主鏡を押さえている3点の爪の出っ張りを覆うマスク、いわゆる『主鏡の絞り環』の作成とそのインストール。たとえば最新のイプシロンである『ε-160ED』にはデフォルトでそのマスクが装着されているので対策は不要ですが、残念ながら『ε-130D』にはありません。もちろん純正のまま使っても良いのですが、その爪による回折現象は輝星にはとくに顕著に出ます。ご覧のように以下ははくちょう座のサドル星を撮影した画像になりますが、光芒に回折が出ているのがお分かりかと思います。

対策前の輝星の光芒の様子
もちろんこれは使用者(撮影者)の不備による問題ではなく純正の構造に起因するものなので、そのまま対策ぜずとも良いとは個人的には思っていますが、私は “イプシロン光学系のより深い理解” という名目で対策することにしました。
イプシロン光学系は主鏡に双曲面(ハイパーボライド)を使い、接眼部に補正レンズを配置したレイアウトとなっています。一般に双曲面鏡の研磨は大変難しいとされてきましたが、双曲面鏡を量産することに成功した当社の研磨技術と既に定評のある光学設計技術とが、この画期的な新光学系を生み出しました。(タカハシ公式HP『ε-130D』ページより抜粋)
実のところ本音を吐露すると主鏡を押さえている爪や調整ネジ等はあまり触りたくはなかったですし、とくに横から主鏡を押さえているネジなんかは工場のほうで職人さんが絶妙な力加減で調整されているらしく、販売店さんのほうからも触ると何かしらの悪影響が出てしまうため手を加えないほうが良いと言われていました。というのも “主鏡はコンニャクだ” とも言われるくらい、ほんのちょっとした力加減で鏡に圧迫をかけてしまうこともあるようで、その圧迫が星像に何かしらの影響を与えるとのことらしいです。つまりこのあたりの対策をするかしないかは自己責任となります。
今回、筆者が実際に塩ビ板やサークルカッター、紙やすり等を使って絞り環を作成し、黒塗装前に仮インストールした状態が以下の状態です。(白い輪っかが絞り環で、3点の爪よりも内径をわずかに小さくしてあります)

今回作成した主鏡の絞り環(黒塗装前)
不器用な筆者の素人工作モノなので工作が得意な器用な方ならもっと上手くやれるとは思いますが、とりあえず今回の作業にはまずまず満足できる結果でした。先人たちの言葉をお借りするなら私の130Dも正確には『ε-128D』(口径128mm)になりましたが、対策後のテストで撮影した同じサドル星にあった回折現象は以下の画像のようにみごとに無くなりました。

絞り環の効果で回折現象の無いきれいな光芒
ちなみに工作途中の上の写真のように筆者の鏡筒には薄手の銀シートが巻いてあります。これは撮影中における外気温の低下による筒の表面温度の低下を防ぐ効果があり、これにより筒内の温度との乖離によっておこる結露を防止する効果があります。銀シートを巻き付ける作業はさほど難しいものではなく、かつたいへん効果的な対策だと感じています。ぶっちゃけ乾燥空気送風装置を作成し毎回撮影現場にもっていきますが実のところ最近はほとんど使っていなくて、大概はこの銀シートの効果だけで結露は防げています。イプシロンのアイデンティティーのひとつであるあの黄色い鏡筒デザインが完全に隠れてしまいますが、実践重視ということで筆者はこのスタイルのまま撮影および運搬しています。
②回転装置への疑惑
現在、筆者は撮像の縦横の構図の切り替えは筒 (接眼部) にある回転装置を使っています。しかしこの回転装置が実は曲者で、光軸調整用の治具 (糸十字線を張ったセンタリングチューブとセンタリングアイピース) で覗きながら回転させると光軸が微妙にズレるのが確認できます。あの “天下のタカハシ” に限って…とは個人的には思いますが、少なくとも筆者の個体には回転装置に偏芯があります。そのようなこともあって光軸調整するときは次に撮影する対象の構図の縦横を事前に決めてから、その回転位置で調整しています。この方法であれば途中で縦横を切り替えなければ (つまり今夜は縦構図でしか撮らないと決めるなど) 理論的には光軸の合っている状態で撮影できるはずです。
しかし今後もし一晩で縦横をどうしても変えて撮影したいときなんかもあるかもしれませんから、その時のためにローテーターの導入か、テーパー接続をして回転装置は完全固定しようと考えています。とくにローテーターは連夜に渡って撮ったり、過去の撮り増しの際などの再導入でも役立つものなので、あればたいへん便利な機器かと思います。
群馬と長野へ遠征 ~テスト撮影の実際~
光軸調整の日々
今年の3月と4月の3晩、連夜を含めると計4晩ほどテスト撮影のため遠征しました。新たに導入した天体撮影用ソフトウェアの試用と自作した絞り環の効果、そして光軸調整精度の自己研究がここ2ヶ月ほどの主なミッションでした。実際の遠征現場でのテストだけでなく、自宅でも光軸調整してはフラットを撮って、ステライメージで等光度曲線をチェックするといったことをずっとやっていました。斜鏡を主鏡側にどれだけ突っ込むか、または筒先側に引くか、接眼部との鏡の角度、そして上述したように回転装置を回した時の偏芯をどのように調整するか。調整の都度自宅から実際の星を撮ることができれば良いのですが、あいにく筆者はそのような環境にはないので、あくまで実写はテスト撮影の現場のみで行いました。実際に星を撮っては暗闇の中でLEDパネルを当てて手探りで調整、また実写しては調整の繰り返し。さすがに現場で筒から主鏡セルを外すようなことはしませんでしたが、おかげでセンタリングアイピースでどの程度光軸がズレていると実像でどのくらい影響が出るかの理解が進みました。泥臭いこのような一連の悪戦苦闘を経たおかげで、ほぼ素人であった光軸調整にそこそこ慣れたような気がしています。
それでも撮れない日々
昨年の夏から約7ヶ月ぶりとなる2026年最初の群馬での撮影遠征においては連夜で挑むも、初日は一晩中にわたって暴風とも言えるくらい、それこそ望遠鏡が倒れるリスクも感じるほどの強風で、もはや撮影どころではなく、翌日は風こそ収まりボーデの銀河『M81&M82』を撮影するも謎のガイドエラーに泣かされ。翌週も再び群馬に遠征するも曇られたりまた風に泣かされたり。そして4月にはさそり座のアンタレス付近を狙うため満を持して長野まで遠征するも、夜半前の早々からまた曇られ…。撮影ソフトにも慣れてきたその長野遠征にて、せめて風が弱く3時間くらいは晴れてくれればうまくやれる自信はありましたが、結局40分しか撮影するチャンスに恵まれませんでした。(撮影自体は曇られる前のおとめ座銀河団『マルカリアンチェーン』のテスト撮影のみで終了…)

テスト撮影『マルカリアンチェーン』
風に関しては低重心化したり堅牢な赤道儀に変更するなどまだ対策の余地はありますが、いかなる機材を投入しようと曇られてはすべての天文屋はお手上げです。昨年に引き続きこれだけ撮らせてくれないとなんだか筆者に天体撮影をさせない、天体写真をやめさせようという目に見えない力学的なものの介入を感じますね。

テスト撮影『M81&M82』
今後の天文活動について
愚痴も含めて長々と書いてきましたが、鏡筒やカメラ、赤道儀などいわゆる “天文三種の神器” と言われる部分をいっさい変更せずに現状としてやれることはすべてやったと思っています。あとは晴れてくれれば、という思いです。もちろん今後さらに上を目指すのならばその部分も強化していかなければならないと考えていますが、まずはこの編成でしっかりと結果を残してからの話だとも考えています。
長焦点化に向けて
天体望遠鏡ではなく星景写真やカメラレンズを使った星野写真からこの天体写真の世界にのめり込んだ筆者としては、やはり広めの画角ではなくよりクローズアップした画角で宇宙の神秘を覗き込みたいとかねてから考えています。広角レンズから始まって標準ズーム、135mmの中望遠単焦点や望遠ズーム、そしてサンニッパときて、いまは430mmまで焦点距離を伸ばしてきました。ただ1,000mm、2,000mmと焦点距離が伸びるに従ってその日のシーイングの影響を大きく受けると言われ、とくに遠征派はそのシーイングの良い夜を引き当てる率も考えなくてはいけないので、解像感よく撮影するには換算で1,000mm付近までが現実的かと考えています。ですから500mmくらいの望遠鏡にAPS-Cサイズのチップのカメラ、または800mmくらいにフルフレームのカメラ、それにAPS-Cサイズカメラを付けて換算1,200mmくらいが妥当だと考えています。実は次に導入してみたい望遠鏡が天文人生最後の光学系だと思っています。その焦点域をカバーする妥協なきアストログラフとなると、自然と “アノ” 望遠鏡が最有力候補となるわけです。
より安定性のある架台
ここ2ヶ月、4夜にわたるテスト遠征にて感じたのは、もっと安定性のある架台が必要だということです。天体撮影はどうしても自然相手のものなので天気ばかりは選ぶことができません。薄雲すら許されない天体撮影にとって、遠征日にそれを引き当てることがまずもって最初のハードルですし、しかも風の影響も考慮しなければなりません。暴風なら仕方ありませんが、多少の風でも撮影に影響が少ない架台であれば撮影機会も、そして露光時間も伸ばすことができるはずです。
現在筆者はビクセン『SXD2』という架台を使っていますが、今回の4夜にわたる遠征では満足いく撮影はできませんでした。曇られてはいかなる架台を使ってもダメですが、ひょっとしたらもっと剛性の高い架台であったら一晩くらいは撮れていたのかもしれません。もちろん遠征に重量級の架台を持ち出すのはそれはそれで心身的にたいへんな部分もありますし、いわばそのトレードオフの落としどころ(もちろん予算的なところも)が問題なのだと思っています。例えば『SXD2』でも三脚をもっと重くて剛性の高いものにしたら安定性 (追尾精度) も上がるかもしれませんし、反面そもそもの架台自体の剛性の限界もあろうかとも思います。今後、より焦点距離を伸ばすのであればこの問題にも本格的に対峙しなければいけません。光学系だけでなく架台についてもおそらく次に導入するものが天文人生最後の架台だと思っています。
モノクロか、カラーか
これまで架台や光学系は頻度は少ないとは言え数回の買い替えをしてきました。しかしことカメラに関してはまったく買い替えはしてきませんでした。途中『ε-130D』の導入と合わせてキヤノンの『EOS6D』を買い増しましたが、基本的にはIR改造を施したデジタル一眼レフカメラで撮影してきました。
撮影 (露光) の効率化で言えば間違いなく天体専用のCMOSカメラのほうが上になります。冷却機構の恩恵はとくに夏場ではとても大きなアドバンテージですし、とくにモノクロカメラによるLRGB撮影は遠征による短時間露光でも効率的に光を捉えることが可能なはずです。筆者もいずれ専用カメラを使ってみたいのですが、モノクロにするか、カラーにするかで迷ってしまい、いまだに決められないというのが現状です。
モノクロとカラーとではそれぞれの利点があります。仮に筆者が遠征だけでなく自宅や観測所でも撮影するなら間違いなくモノクロを選ぶと思いますが、遠征しかしない筆者はあえてカラーを選ぶという選択もアリだとも考えています。
・透過特性の高いL画像を取得できる。
・各々の作風によりフィルターを使い分け(配分比率の変動が)できる。
・本格的なナローバンド撮影も可能。
・偽色の無いクリアで信憑性のあるカラー情報を取得できる。
・各フィルターごとにフラットを取得する必要がある。
・途中で曇られたり機材トラブルなどでカラー写真として完成しないこともある。
・安価なフィルターを使用すると輝星にゴーストが発生することもある。
・単純にLRGB合成処理など画像処理が雑多になる。
今後は以上の3つの柱を中心に考慮しつつ、もっと多くの天体写真を残せていけたらと思っています。
今回の記事は以上になります。
個人的備忘録という内容でたいへん恐縮でしたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。本年もどうぞ良い天文ライフを。




