テレコンバーター TC-14EⅢ & TC-17EⅡ 実写比較

CAMERA&LENS

今回はニコンのFマウント用のテレコンバーター『TC-14EⅢ』と『TC-17EⅡ』の実写画像を用いての画質比較の記事となります。

既にZマウントが市場に投入され早3年半が経とうとしていますが、改めてFマウントのテレコンバーター2機種を取り上げてみたいと思います。いまだに当ブログでも以前のテレコンの記事へのアクセスが多いというということで、今回は実際の画像を客観的に比較してみました。

本記事が少しでも皆さまのご参考になれば幸いです。

(目次)

  • AF-S TELECONVERTER 2機種の概要
  • 実写画像の検証方法
  • TC-14EⅢの画質
  • TC-17EⅡの画質
  • 私的結論
  • まとめ




 AF-S TELECONVERTER 2機種の概要

以前にこの2機種のテレコンバーター(以下テレコン)を取り上げましたが、その記事では主に私の主観的な印象と仕様などの概要がその内容でしたので、今回はそのあたりは簡単に取り上げます。

AF-S TELECONVERTER TC-14E Ⅲ/TC-17E Ⅱ

TC-14E Ⅲ

このテレコンはニコンのAF-Sレンズ(GおよびEタイプ)との間に装着することで、主レンズの焦点距離を1.4倍に拡大するアタッチメントレンズです。

TC-14EⅢ

主な概要
・2014年8月発売
・希望小売価格 74,250円
・F値は1段分暗くなる
・DタイプのAF-Sレンズ、AF-Iレンズには使用できない
・レンズ構成 4群7枚
・質量 約190g

非常にコンパクトで軽量なのが特徴で、個人的にはそれほどの画質低下は感じていません。撮影時にはいつもバッグに忍ばせておき、いざという時に活躍してくれるテレコンという印象です。私は動きものに限らず風景や山野草などの撮影でも使用したりしています。

開放F値が1段分暗くなるということで、
開放 f/2.8のレンズであれば f/4に、
開放 f/4のレンズならば f/5.6となります。

TC-17E Ⅱ

このテレコンはニコンのAF-S・AF-Iレンズとの間に装着することで、主レンズの焦点距離を1.7倍に拡大するアタッチメントレンズです。

TC-17EⅡ

主な概要
・2004年7月発売
・希望小売価格 63,250円
・F値は1.5段分暗くなる
・DタイプのAF-Sレンズ、AF-Iレンズにも使用可能
・レンズ構成 4群7枚
・質量 約250g
・現在ではすでに旧製品扱い
TC-14EⅢよりも大振りで、重量もそこそこ感じます。
やはり1.4倍テレコンよりも若干AFの速度も精度も低下してしまいますし、特にF4の望遠ズームではどうしても画質のシャープさが低下するため最近ではあまり出番がありません。

開放F値が1.5段分暗くなるということで、
開放 f/2.8のレンズであれば f/4.8に、
開放 f/4のレンズならば f/6.7となります。

どちらのテレコンも使用するレンズやカメラには注意が必要ですが、その組み合わせについてはニコンの公式HPをご覧ください。
Nikon | カメラとニッコールレンズの組み合わせについて

実写画像の検証方法

さて、今回の実写画像の比較・検証の方法ですが、装着・未装着ともに極力フェアで客観的な方法にしようと思いました。

基本的な撮影方法

実写は無限遠に相当する遠方にある対象物としました。
さらに中心には画像比較しやすいように人工物が来るように構図を調整し、その人工物に対して位相差AFではなくコントラストAFで撮影。これは今回の検証が単純な画質のみの比較としたかったためで、位相差AFですとカメラやレンズとの相性などの影響が出てしまいフェアな比較にならないと思ったためです。

もちろん手振れ補正(VR)をオフにして三脚に据えて、レリーズを使ってミラーアップ状態で撮影しています。撮影は風の影響を配慮し3枚撮影し最もシャープに撮影できたコマを選んでいます。

さらに念のためそれぞれ遠くの鉄塔陸橋の橋桁の2カットを撮影しました。

比較方法

それぞれの撮像の実際の比較の方法ですが、
まずテレコンを未装着状態、つまりレンズの素の状態で撮影した画像をモニター上で100%拡大表示します。

次にTC-14EⅢで撮影した画像をモニター上で71.43%拡大で表示します。つまりこれは光学的にすでに拡大しているので、モニター上での拡大率は71.43%の拡大率で表示するとテレコン未装着画像と同じ画角になるためです。

計算式 100 ÷ 1.4 = 約71.43
同様に、TC-17EⅡを装着した状態で撮影した画像もモニター上で58.82%拡大で表示します。
計算式 100 ÷ 1.7 = 約58.82

それぞれ100%表示、71.43%表示、58.82%表示したものを画面キャプチャーし、そのキャプチャーした画像で比較します。

※数ピクセル画像サイズが合ってませんが比較に影響なしと判断させていただきます。

使用したカメラとレンズおよび設定

撮影で使用したカメラは約2,000万画素、いわゆる低画素機の部類であるニコンのD5。本当は高画素機のD800系の方がこの検証には相応しかったですが、残念ながら手持ちのFマウント機が現在D5のみでした。

使用したレンズはAF-S NIKKOR 300mm f/2.8G ED VR Ⅱ。
もちろんVRはオフにして、絞りは描写性能にもっとも差が出るであろう開放とし、ど真ん中のAFポイントを用いてコントラストAFで合焦させました。

比較画像の明るさを出来るだけ揃えるためにPhotoshopの明るさ・コントラストで多少調整していますが、もちろんシャープ系の処理やノイズ処理、その他画像品位に影響するパラメーターには一切手を付けておりません。

キャプチャー画像として表示させたモニターはEIZOのColorEdge CS2410 (FHD)です。



TC-14E Ⅲの画質

まずは必要とあらば私がなんの躊躇もなく使用するTC-14E Ⅲ。

このTC-14E Ⅲを装着した画像と、テレコン未装着画像をこのTC-14E Ⅲ相当に拡大した時の画質比較です。(実際にはTC-14E Ⅲの画像の拡大率が低いということです)

まずは300mmと420mmの単純な画角比較です。

テレコン未装着(300mm)

TC-14E Ⅲ(420mm)

続いて中心部分の鉄塔の拡大画像(キャプチャー画像)の比較です。

テレコン未装着(300mm)

TC-14E Ⅲ(420mm)

さらに別カットの比較画像です。

テレコン未装着(300mm)

TC-14E Ⅲ(420mm)

テレコン未装着(300mm)

TC-14E Ⅲ(420mm)

なかなかこのブログ上の表示ではわかりづらいのですが、若干テレコンを使用せずに撮影した画像の方が拡大率が高い(100%拡大)ですがシャープに見えます。テレコンを装着するとわずかながらも色収差が強調されたような画像になり、それが画像をぼやかしているような印象です。

ただ、もちろんこれは等倍表示(100%表示)の結果であって、プリントレベルや拡大せずに鑑賞した時に人の目で優劣が付くかどうかは微妙だと思います。つまりよほど拡大しないと違いは分からないとも言えます。

TC-17E Ⅱの画質

続いては今では防湿ケースの肥やしになっているTC-17EⅡ。

焦点距離が伸びたことでモニターでの画像拡大率が下がって(58.82%拡大)有利になっていますので、果たして未装着画像と差はどのくらいあるでしょうか。(今までの使用歴から実はある程度は予想はついていましたが…)

まずは単純なテレコン有り無しの画角比較です。

テレコン未装着(300mm)

TC-17EⅡ(510mm)

さすがにこれだけ焦点距離が違うと画角にもこれだけの差が出てきます。

続いて中央部分の拡大比較です。

テレコン未装着(300mm)

TC‐17EⅡ(510mm)

こちらもブログ上では差がわかりにくいですが、TC-14EⅢ装着時よりもさらにシャープさが失われています。鉄塔の細かな入り組みをシャープに表現できているのはテレコン未装着のほうです。

テレコン未装着の方は拡大率が高く不利ですが、やはり元々の撮像がテレコン装着時よりもシャープであるためでしょう。

続いて別カットでの比較です。

テレコン未装着(300mm)

TC-17EⅡ(510mm)

テレコン未装着(300mm)

TC‐17EⅢ

こちらも橋桁部分では違いは分かりづらいですが、右下寄りの小さい木の幹のシャープさは明らかにテレコン未装着の方がシャープに見えます。やはり色収差起因の画像のにじみが影響しているように思われます。



私的結論

今回、改めて実写による画質のみの検証をしてみた結論です。

画質だけならクロップか

単純に今回の方法による画質(シャープさ)だけの比較でしたらテレコンを使用せずに、クロップ(トリミング)して拡大した方が良好な画質を得られました。今回使用したカメラが低画素(約2,000万画素)のカメラでこのような結果ですから、3,600万画素や4,500万画素、はては6,000万画素を有するカメラであれば言わずもがな、という結論です。

光学的に焦点距離を伸ばすよりも、トリミングの方がシャープ
今回のようにきっちりと比較する前は低画素機ならばテレコンの方が有利かなと何となく思っていましたが、結果は逆。砕いて言うならば光学的に拡大するよりもデジタル的に拡大した方がシャープであるということです。これはある意味、たかが2,000万画素クラスのカメラでもシャープさはすでに必要にして十分という証明にもなるかと思います。

少なくとも今回のような無限遠の対象物に対しては光学的に焦点距離を伸ばすよりも、よりシャープなレンズと高画素機を使ってトリミングした方がシャープであると予想されます。

テレコンの意義

ただし、テレコンを使った実際の撮影ではこのような撮影方法はまずやらないとも言えると思います。テレコンを使用する多くの場面は動きもののケース。スポーツや野生動物、飛行機などの撮影ではカメラを三脚に据えてミラーアップし、コントラストAFで合焦させ、レリーズでシャッターを切るような撮影では対応不可能です。

もちろん時には “置きピン” をすることもあるでしょうが、実際には位相差AFで素早くAFポイントを移動したり、選手や動物の顔や目にピントを狙って合わせたり。そういった場面ではそもそもの焦点距離の優位性は少なからず存在します。私は動きものを主に撮影しているわけではないのでそれほど詳しくはないのですが、焦点距離自体が伸びることで被写体が拡大されますから撮影中はより細やかなAFの追い込みが可能になるはずです。

今回の方法とは異なる方法での検証であれば、また違った結果になったかもしれません。

画作りが違う

それに焦点距離が違うということは仮に同じF値で撮影した場合、被写界深度も当然変わってきます。テレコン未装着で300mm f/4 (1段絞る)で撮影した画像と、テレコンを装着して420mm f/4 (開放)で撮影した画像とでは焦点距離が異なると同時に被写界深度、つまりアウトフォーカス(ボケ)の表現や圧縮効果に違いが出てきます。

焦点距離が変わってくれば、画作りにも違いが出る
私は画質のシャープさ云々よりもこの “画作りの違い” の方が写真撮影する上で大きな意味を持つと思っています。昨今はシャープであればシャープなほど良いといった風潮もあるため、現代的な見方をすれば『高画素機でトリミングした方が良い』となりますが、写真表現はその一方向だけで語れるものでもないと個人的には思っています。

動きものよりも風景や山野草を中心に撮影している私であってもテレコンを頻繁に使うのは、そのような “画作りの違い” を求めてのことだからなのかもしれません。

まとめ

簡単ではございますが今回はFマウントのテレコン2機種についての実写画像を用いての画像比較を行いました。現在ではニコンでも高画質なZマウントのテレコンも発売されていますが、FでもZでも原理は同じになります。

素の望遠レンズに対して光学レンズを『足して』焦点距離を伸ばす
これはレフ機でもミラーレス機でも同じことで、あくまで光学的に、つまりアナログ的に拡大させています。

私は現在はZマウントのカメラもレンズも所有していないので今回のような比較検証はできませんが、おそらく相対的にはこのような結果になると思っています。(もちろんFとZとでは絶対的な画質の差はあるかと思いますが。)

まだまだ望遠域での動きものの撮影などでは「レフ機に旨味あり」といまだにレフ機をメインとされている方々も多くいらっしゃると思います。本記事が少しでもそのお役に立たれば幸いに存じます。

 

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。