天体撮影に関して、私は主に3月下旬から梅雨入り前までと、秋から1月くらいまでの大きく分けて2つの時期が活動期間となっています。もちろん出来ることならもっと撮りに行きたいのですが(特に夏の天の川シーズンは)、如何せん梅雨以降は晴れません。梅雨は仕方ないにしても、梅雨が明けても夜間はまぁ晴れません。山岳写真や星景写真は多少雲があってもそれが逆にひとつのアクセントとなりますが、星野写真では薄雲すらも許されません。湿気の多い日本において、夏は特に快晴になりにくいです。
ようやく今年も暑かった夏が終わり、天体撮影もようやく秋・冬のシーズンへ突入しました。そんな中、10月上旬の新月期、台風後の(通過中の?)関東ではGPV的には快晴の予報が出てきたので久しぶりの群馬遠征となりました。
ポタ赤を使用しての星野写真はいつ以来でしょうか…。自分でもよく覚えていないくらいです。ただでさえ天体写真に関しては一向に上達の気配がないのですが、こんなに晴れずに撮れない期間が長いとまた初心に戻ったかのような感覚での撮影となります。
対象は秋ということで旬の『M31』、天体写真の花形アンドロメダ大銀河としました。余裕があればケフェウス辺りも撮れたらと思っていましたが、余裕は全くありませんでした…。
撮影地は北天の撮影ということでいつもの群馬県下仁田。東側や南天は東京や高崎の光害がきついですが、 北天ならそこそこの暗さがあります。同業者の方々のイカツい機材が溢れるなか、邪魔にならないようにいつものように隅っこで。
カメラ Nikon D500
鏡筒 AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR Ⅱ(200mm f/3.2)
架台 UNITEC SWAT200(ノータッチガイド)
ダーク減算 RStacker
フラット補正 無し
現像 ADOBE Camera Raw
コンポジット DSS(120秒×6枚 iso3200)
画像処理 ADOBE Photoshop CC
今回カメラはM31ということで天体改造してあるNikon D7100ではなく、あえてノーマルのNikon D500を使用。M31は赤い星雲ではなく銀河ですし、天頂に上がったときにD500のチルト式モニターが便利なので。
望遠域での星野写真撮影でよく使っている70-200mm f/2.8G のⅡ型をSWAT200にセット。そして強風の中、いつものように極軸合わせと対象の導入で悪戦苦闘の時間…。まぁこれもいつものようにどこかで妥協するのですが、ようやく撮影開始したとたん薄雲…。結局ちゃんと撮れ始めたのは天頂から少し傾いたころ。
北アルプスの3,000m級の稜線で眺める星空はそれはそれは見事ですが、さすがに重い中望遠レンズでも載るようなポタ赤までは担げないので広角での星景写真が北アルプスでは今のところ限界です。
しかし今回のような車で行けるような撮影地はそれはそれで良いものです。星にレンズを向けながら、1枚1枚露出が終わるたびにモニターに写し出される銀河や星雲の美しさと、それを見るワクワク感は北アルプスでの山岳星景の撮影とはまた別物と思います。
もちろん星野写真用にポタ赤ではなくしっかりした2軸仕様の赤道儀や、それこそ天体望遠鏡も欲しいのですが、冒頭にも書きましたが如何せん晴れないんですね。年に何回使うか分からないものにかなりの金額をつぎ込むほど資金もないので、今の機材でもう少し頑張りたいところ。それに自分にとって天体写真は作品作りというよりは写真の良い勉強になるとの思いから撮影しているところがあります。現場での撮影にしろ画像処理にしろその難しい行程を一つ一つ攻略していく、上達していく楽しさがあります。これは山岳写真にはない面白さです。
とは言いつつ、さすがに今回はも極軸合わせに苦労したのでポールマスターは手に入れたいと思っています。極軸さえしっかり合っていれば1軸のポタ赤とはいえSWAT200の追尾精度はたいしたものだと思います。台風の影響で風が強い日でしたが、200mm(換算300mm)でもノータッチでそこそこ追尾してくれていました。もっとしっかりと極軸が合っていれば追尾精度も上がりより長い露出時間もいけると思いますし、なにせ短時間でセットできればもっと多くの対象も撮れそうです。