写真プリントのすすめ

COLUMN
デジタル写真全盛の昨今、
果たしてどれだけの写真愛好家が自ら撮影した写真を紙にプリントしているだろうか?
フィルムからデジタルになって写真の楽しみ方は増え、今やインターネットや各種SNSの盛隆により自ら撮影した写真をプリントせずとも多くの人に見てもらえる時代です。画像モニターもデジタル黎明期に比べて解像度や色再現性も飛躍的に向上しました。

そんな時代においても私は昔ながらの写真プリントというものをいまだに続けています。
今回はこの『写真プリント』について、いつものように私なりの主観を中心に取り上げます。

(目次)

  • フィルムからデジタルへ
  • 山岳写真こそプリントを
  • プリントの意義と優位性
  • 写真プリントの活用法
  • 写真用プリンターのすすめ(インクジェット)
  • 染料プリンターと顔料プリンター
  • プリント用紙にも拘りたい
  • プリント作業における環境光
  • まとめ




フィルムからデジタルへ

写真の世界もアナログ(フィルム)からデジタルになって久しいですが、近年はインターネットの急速な普及と進化によって手軽に自分の写真をそれこそ世界中の人に見てもらえることが可能になりました。写真文化が衰退してしまうよりもこれは良いことであるし、写真文化がより身近になったと言えますし、写真自体もデジタル化によって扱いやすくなりました。

フィルムの頃はデジタル写真のように利便性は良くなくて、ポジフィルムをルーペとライトボックスを使って鑑賞したりスライドで鑑賞したりする以外はたいていはプリントして鑑賞していました。プリントするのが当たり前のまさしくアナログ時代でした。

しかし果たして今の利便性に富んだデジタル写真盛隆の時代においてわざわざアナログプリントして鑑賞している人がどれほどいるでしょうか。以前は大型で高解像度のキャリブレーションモニターは高価でしたが、価格も少しずつ手に入れられるような現実的なものになってきました。そうなってくると今後はますますプリントする人も少なくなってくると思います。

“日本”というお国柄
欧米では当たり前のように自宅やオフィス、ショップ店舗などに写真を飾る習慣があります。それに対し日本は狭い住宅事情ということもあって、屋内に写真を飾るという習慣が欧米に比べて少ないとも言われています。

山岳写真こそプリントを

山は大きい

私はネイチャーフォト全般、特に山岳写真こそ大きく引き伸ばしてプリントしたほうがもっと写真を深く理解でき、さらに写真が好きになると思っています。

それはなぜか―。

非常に単純なことですが、山岳写真の多くはとてつもなく雄大で巨大な『山』を撮っているからです。やはり撮影対象が大きければ大きいほど、それに比例してプリントも大きく引き伸ばして鑑賞したときに感じる“圧倒さ”は小さなスマホやタブレットを使ってデジタル鑑賞するとではとてつもなく大きな違いです。

山の写真は大きくプリントしたい

大きければ大きいほどプリントして鑑賞したときに受ける感動もそれに比例して大きいものになります。

山で見た・感動した雄大な風景、
心震えた美しい風景、
思わず声が上がった刹那的な風景。

その感動を写真として表現するには『大きさ』というのは単純ながら大切な要素です。同じ山の写真でもSNSやブログなどでスマホやタブレットの画面で見るのと、A3やA2、全紙サイズにプリントして鑑賞するのとでは全く異なる印象を持つはずです。そしてそれは大きいプリントほど、実際に感動した風景に限りなく近い印象を受けるはずです。

昨今の社会事情

私事で恐縮ですが、実は以前から使っていたキヤノン『PRO-10S』というプリンターが故障してからというものの修理に出すのも億劫でしばらくプリントしていませんでした。
そんな折、ここのところの感染症拡大防止による撮影自粛などで在宅率が上がっていたこともあり、重い腰を上げて新たなプリンターとしてキヤノン『PRO-G1』という機種を導入しました。

このご時世によって皮肉にも個人的に『撮影モード』から『制作モード』へ転じたことで改めて感じたのは、やはり先で述べたように山の写真は小さなデジタル端末で見るより大きくアナログプリントして鑑賞・保存するとより大きな喜びを得られる、ということでした。

なかなか大腕を振って撮影に行きにくい世の中ですが、こんな時はあえて無理をして撮影行に右往左往するより、今まで撮りためてきた写真をプリントしてみて、改めて自分の写真を振り返ってみるのも良い機会と捉えても悪くはないような気がします。
“災い転じて…” ではないですが撮影に行けないことは残念に思いましたが、個人的には自らの写真を一度冷静になって見返したり、再びプリント熱が湧いてきた良いきっかけをくれたと捉えるようになりました。

プリントの意義と優位性

撮影した写真をプリントする意義や優位性のひとつに自分がその写真で表現したい色調諧調コントラストを確実に鑑賞相手に伝えることが出来る点が挙げられます。

たしかにインターネットの普及によって自分の写真作品を多くの人に見てもらえるチャンスが増えましたが、それぞれその写真を表示しているデバイスは異なります。スマホやタブレット、PCモニターなどインターネットの表示デバイスは人それぞれ。しかもそのデバイスは機種やメーカー、ブラウザによって色調(WB)や諧調、明るさはすべて異なります。

プリントなら表現したい作品を妥協なく突き詰めることが出来る

折角ご自身で撮影や現像処理を追い込んで写真作品を作り上げたとしても、その写真を鑑賞する人(デバイス)によっては異なる印象に見えてしまうのはこのインターネットを通じて鑑賞するデジタル写真の大きな問題です。残念ながら現在の多くのデジタルデバイス(端末)でしっかりと写真の諧調やWB、トーンを表示できるものは皆無に近いのです。

それに対しプリントは『プリントそのもの』が撮影者の表現したい写真作品です。プリントを追い込めば追い込むほどに限りなく自分の理想の作品に仕上げることが出来ます。そしてそのプリント自体が最終的な成果物(反射原稿)となります。山岳写真は一見すると“大味な”写真ジャンルと思われがちですが非常に繊細な写真ジャンルのひとつであると私は思っています。
そこを拘らずして良い作品を残すことは出来ないと思っています。



写真プリントの活用法

私も含めて、デジタル全盛の今でもなお写真を紙にプリントされている方々は様々な理由でプリントを行っていると思います。

写真作品の終着点

おそらくどの方もプリント出力をもって作品の終着点とするためにプリントを行っていると言えると思います。そこからその作品をどのように活用するかはひとそれぞれと思いますが、やはり作品作りの最終地点がプリント出力という方がほとんどなのだと思います。

つまり、

機材を抱えて撮影地まで赴く

撮影

現像処理(jpegなら調整程度)

プリントして完成とする
いくら現像ソフトで追い込もうが、紙にプリントしなければしょせんはデジタルです。デジタルとはつまり『0と1』の無機質な単なるデジタルデータでしかありません。そのモニターに映し出されたデジタルデータをアナログの写真プリントにすることで、まるで無機質なデジタル写真に命が吹き込まれるような感覚があります。

もちろんデジタル写真はデジタル写真でアナログプリントとはまた違う表現が可能なのも事実ではあります。プリントもやはり完璧というわけでは無く、そのプリント(反射原稿)を鑑賞する環境光によって見え方も違ってきます。さらにデジタル写真はいわば透過原稿なので反射原稿とは違う見え方をするので、それはそれでアナログプリントとは異なる表現方法が可能という側面もあります。

しかしやはり私はデータでしかないデジタル写真は写真作品として“完成前”の段階のものだと思っていますし、プリント出力して初めて“完成”としています。つまり撮影の段階からプリント出力まで想定して行っているということです。

コンテスト用

写真誌や各種コンテストはいまだに写真のプリントを応募要項としているところもけっこうあります。以前に比べてデジタルファイルをネット上にて提出して応募するコンテストも増えましたが、いまだプリントでの応募も多いです。

ただ最近はやはりデジタルの急速な普及によって紙媒体である写真誌自体も休刊に追い込まれている時代です。この流ればかりはなかなか変えることは出来ません。

個人的な話になりますが写真コンテストに関しては私の写真撮影の目的・意義がそもそもコンテストというものにはないため、私はいまだに応募したことはありませんし、今後もコンテストに応募・参加することは無いと思います。(決してコンテストを否定するものではございません)

写真展用

個人や写真団体、写真サークルなどで写真展を行うには写真プリントが使われることがほとんどです。いまではインターネットを通じて自分の写真を見てもらえる時代ですが、自分のデジタルでないリアルな写真作品を不特定多数の人に“直に”鑑賞してもらうにはこのような展覧会・写真展しかありません。

ただ今後は大型の高精細・高解像のキャリブレーションモニターを数台用意してデジタル写真を展覧会場で見てもらう、といった新たな鑑賞・展示方法も頻繁に出てきそうです。

インテリアとして

自宅や仕事場、会社事務所や店舗など写真プリントを額装してインテリアとして飾るというもの写真プリントの大きな目的のひとつです。プリントは撮影者にとって「この額に入れる写真を頑張って撮影しよう!」というモチベーションのひとつになったりします。

自ら撮影した写真や、お気に入りの写真家の作品を飾ったり、贈答用として親しい方に送ったりと写真プリントが様々な人々を結びつける大きなツールになります。

額装しインテリアとして

写真技術の向上

プリントすることで写真技術の向上につながるというのは良く言われていることです。もちろんプリントなどしなくても写真技術は向上できるとは思いますが、ただ個人的にはやはりプリントすることで自分が撮影した写真であったとしてもある程度は客観的にみることが出来るし、反省点なんかも出てくるのも事実だと思っています。実際に私の経験上そうでした。

デジタルデータでモニター上では良い出来だと感じていても、いざプリントしてみたら改めて
“もっとこうすれば良かったかな…”
なんて改善点が見えてくることも多々あります。

個人的にはプリント前提で写真撮影を行っているとやはり1枚1枚ていねいに撮影しようと心がけるようになると思っていますし、もっと言うと額装までの完成イメージをしっかりと持って撮影するのとそうでないのとでは結果(とくに構図の面で)は明らかに違うと思っています。

写真用プリンターのすすめ(インクジェット)

写真を本格的にプリントしてみたい、という方に私は写真専用のインクジェットプリンターを強く勧めたいです。確かに写真用プリンターは上位機種になるとかなり高価なものですし、本格的な機種ですとインクが8色10色12色などインクカートリッジ代もバカになりません。

ランニングコストだけを考えたら気に入った写真だけを街の写真屋さんやラボでプリントしたほうが安いかもしれません。とくにいわゆる『クリスタルプリント』と言われる最上級の銀塩プリントはインクジェットプリンターでは敵わない鏡面性・平滑性・発色を持っています。

しかし私はインクジェットプリンターの良さは『自らプリントする過程』にあると思っています。自分で選択・購入したカメラやレンズで、苦労して撮影地まで足を運んで、丁寧に撮影して、時間をかけて現像処理して、最後の最後、プリント出力を他人(プロとは言え)に任せてしまうのは個人的にはもったいないなと思いますし、何より作品の一貫性も損なわれると思っています。(もちろん自ら銀塩プリントできる方なら別ですが)

確かに私も『クリスタルプリント』の美しさは素晴らしいと思いますし、A3ノビよりも大きいプリントは外注に頼っているのが現状ですが、自分の作品作りを突き詰めるには自らプリント作業を行った方が満足感は得られると思っていますし、先にも述べましたがやはり写真作品の一貫性(オリジナル)やアイデンティティが保たれれると思っています。

私はプリンターに関しては以前からキヤノンの機種を使用していますが、写真用の上級プリンターであればどのメーカーの物でも仕上がりに大きな違いは無いように思います。もちろん各メーカーのプリンターをプリント出力して見比べたわけではありませんし、キヤノンのプリンターにしている決定的な理由というのも特にありません。(とは言いつつ、キャノンのプリンターは黒の締まり方が優れているという印象を持っています)

Canon『PRO-G1』

それよりも顔料タイプ染料タイプか(以下参照)という違いのほうが大きなポイントとなるので、私はそこは慎重に機種選びを行ったほうが良いと思っています。最近の写真用のインクジェットプリンターは各社開発が進み、インクの発色性や耐光性が向上していますので『クリスタルプリント』に引けを取らない高品位なプリント出力が可能となっています。

キヤノン『PRO-G1』については後日改めて取り上げる予定でいますが、詳しいスペック等はキヤノンの公式HPでご確認ください。
Canon imagePROGRAF『PRO-G1』

染料プリンターと顔料プリンター

最近のインクジェットプリンターは銀塩プリントに勝るとも劣らない美しいプリントを出力してくれます。もちろん理論上は印画紙に焼き付ける銀塩プリントには平滑性では劣るかもしれませんが、写真用の高級機ならば本当に美しいものをプリントしてくれます。

それに外注の高級プリント(いわゆるクリスタルプリントなど)ではどうしても自分が表現したい色調とはかなり外れたものが出力されるケースがあります。いくらキャリブレーションモニターで現像していようとこればかりはどうしようもありません。納得いくまで何回も出力していては金額的にもかなりかかってしまうので、やはり本格的にプリントをするのならインクジェットプリンターで自らプリント作業を行うほうが自分が表現したい色調・コントラストを追い込むことが出来ます。

プリンターには染料インクのものと顔料インクのものがありますが、どちらも一長一短ありどちらが優れているというものではありません。これはもう好みや、その作者の作品の傾向や、作品が求めているものによって選択するしかありません。
こだわりの強い方は作品によって染料と顔料を使い分けているほどです。

染料タイプ

染料タイプは写真用紙にインクを沁み込ませてプリントするタイプの機種になります。
そういうこともありそれぞれの写真用紙の特徴を引きだすことに長けています。とくに光沢のある用紙にプリントすればその光沢感を損なわず非常に高解像で平滑性に優れたプリントを出力してくれます。鏡面のような超光沢紙にプリントすればクリスタルプリント相当の光沢感ある鏡面プリントに仕上がります。

さらに染料タイプは色彩表現に長けています。
それらを考慮すると光沢感を活かしたカラフルで華やかな写真にはよく合う機種になると思います。
山や自然風景の写真であればの写真や紅葉の写真、朝焼け夕焼けなどは染料タイプのほうが見栄えは良いと思います。

反面、染料タイプは色の定着に時間がかかるとも言われていて、月日が経つとプリントしたときの色調とは変わってしまうと言われています。私はいままで染料プリンターを所有したことは無いので実際どのくらい色が変化してしまうのかは分かりませんが、最近の機種ではインクを改良してこの辺りの弱点を克服しつつあると言われてもいます。

顔料タイプ

顔料タイプは写真用紙の表面にインクを付着させてプリントするタイプの機種になります。
そのため超光沢の写真用紙を使ったとしても残念ながらその用紙がもつ光沢感は多少失われてしまいます。染料と比較すると色彩の派手さはありませんが愚直に表現したい色を正確に再現してくれるイメージがあります。

そして何と言っても顔料は黒の締まり方が染料と比べると圧倒的に優れています。おそらく顔料タイプを選ばれる方のほとんどがこの利点があるからだと思います。実際に同じ写真を顔料と染料とでプリントすればその差は歴然としています。

さらに顔料タイプは色の定着が良く、経年の変化も染料よりも少ないと言われています。長期的な保存や展示ならば顔料タイプのほうに分があるのではないでしょうか。

そして以下で取り上げますが、もう一つの顔料タイプの良いところは様々な用紙に高品位にプリントできる点です。この不得意な用紙が無く“用紙を選ばない”という特徴は非常に重要で、ファインアート用紙にプリントすることが多い私のようなタイプには用紙の選択肢が広がることを意味しています。



プリント用紙にも拘りたい

写真プリンターを使って自らプリントをする意義のもうひとつの重要な要素が『プリント用紙の選択』が出来る点です。

自家プリントは様々な用紙を自ら選択できる

私はそれほど多くの写真用紙やアート紙を使ったわけではありませんし、とくにファインアート用紙は個人的に気に入っているものを3、4種類くらいしか使ったことがありません。しかし世の中には本当に様々な用紙があって、写真に合わせて自ら試行錯誤を繰り返しながら用紙を選択していく行程も作品作りの重要なポイントです。

写真用紙

一般的に写真プリントに使用される用紙には光沢系マット系に分かれています。
メーカーも様々でキヤノンエプソンなどプリンターメーカー純正の用紙や、ピクトリコなどに代表されるサードパーティの用紙も含めれば選択肢はかなり多いです。
価格もピンキリで、用途に合わせて選択できます。

ファインアート紙

単にアート紙とも言われることもありますが、この写真用に製造されたファインアート紙の優れている点は写真作品の多彩な表現方法保存にあります。

とくにコットン(綿)がベースに使われている用紙はその性質上、アート作品の長期保存に長けていると言われています。歴史を重んじるヨーロッパではアート作品の長期保存において、このコットンをベースとした用紙が作品に多く使われると言われています。

作品の保存にも適したコットンベースのファインアート紙

私はファインアート紙に関してはハーネミューレ社製(ドイツ)のものしか使ったことがありませんが、非常に表現力に富んだ用紙が揃っています。その他にキャンソン(フランス)やピクトラン(日本)、そしてフィルムでも馴染みのあるイルフォード(イギリス)などがアート紙では有名どころです。

しかしファインアート紙はどれも価格が高いという難点があります。残念ながらコストパフォーマンス的には一般的な写真用紙のほうが優れていますが、唯一無二の写真表現や長期保存に拘りたい方にはファインアート用紙はおすすめ出来ます。

作品保存という考え方
自ら撮影した写真保存に関して私はとても重要視しています。デジタル写真においてはデータはアナログのように経年劣化することはありません。しかしデジタルデータはある日突然、何らかの影響でデータが消失することも考慮する必要があります。もちろんバックアップは残しますが、やはりプリント出力して最低数枚は残しておきたいものです。私の場合そんな『作品保存』という意味合いもあって高価ですがコットンベースのファインアート紙にプリントしているとも言えるかもしれません。

プリント用紙に関しては非常にディープな世界のため私もまだまだ知らないことも多いので、いずれ自らの勉強も含めて改めて記事にしたいと思っています。

プリント作業における環境光

最後に実際の写真プリントを行う上で大切になってくる環境光についても軽く触れたいと思います。

デジタル写真は同じ写真でもそれを表示するデジタルデバイスによって色表現や明るさ、コントラストが変わってしまうという問題点があることを先に挙げましたが、実はプリントもそのプリントを鑑賞する環境光によって見え方が変わってきます。

出力したプリントを個人的に同じ環境光下でのみ鑑賞するならその環境光下に最適なプリントを出力すればよいことになりますが、そうでない場合はどうプリントすべきでしょうか?
太陽光の下で鑑賞するのか、
もしくは蛍光灯の下で、
はたまた電球光の下で、
と写真を鑑賞する環境光は様々です。しかしいちいち様々な環境光に合わせて出力していてはキリがありません。

そこでひとつの基準として色評価用としてのスタンダード、印刷の基準色温度である『5000K』付近の環境光をプリント作業で使用する方法が多くとられています。とてつもなく拘っている方はそれこそプリント作業する部屋の照明まるごと『5000K』付近の高演色性の高いものに交換されています。しかし部屋の照明は専門的な知識をもつ電気従事者でなければ交換するのは難しいものなので、私は高演色性の高い照明スタンドの使用をおすすめします。

山田照明の『Z-Light』シリーズは演色性も高い (出典:山田照明HP)

照明スタンドであれば比較的安価に導入できますし(それでも高価ですが)、工事も不要ですし、ある程度のプリント作品の色評価だけなら十分だと思います。

実際に私も山田照明『Z-LIGHT』シリーズ『Z-80PROⅡ』を2台プリント作業で使用しています。非常に演色性も高くプリントを評価する際のリファレンスツールのひとつとなっています。詳しい製品情報などは山田照明のHPをご覧ください。
山田照明HP|PRODUCTS

まとめ

紙へのアナログ出力となる写真プリントはデジタル写真とは全く異なるものです。デジタル全盛の昨今ですが、やはり自ら撮影した写真の最終形態を写真プリントとすることは大きな意味を持ちます。

しかし写真を始めたばかりの方々にとってはプリント出力まで手が回らないかもしれません。カメラも高価、交換レンズも沼に嵌ればいくらお金があってもキリがありません。さらに三脚に各種フィルター、メモリーカード、交換バッテリーに撮影行の交通費…。そこにプリンターや写真用紙ともなればなかなかに敷居の高さを感じるかもしれません。

しかし、やはり写真プリントは写真作品を残していく上でもっとも重要な最終段階とも言えますので、外注だけでなく自らプリントするプロセスもぜひ楽しむべきだと思います。

この記事が皆様の写真ライフにおいて、プリント出力のきっかけの一つになれば幸いです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。