2022年2月上旬 ロウバイ咲き誇る宝登山から長瀞アルプスへ。
長瀞の冬空に漂う甘い香りと冬枯れの里山を味わう、秩父路のんびりゆるハイク。
- 2022年の山始め
- 寶登山神社
- 蝋梅園へ
- 長瀞アルプス
- 秩父鉄道野上駅へ
- 2022年の山
2022年の山始め
いざ、秩父路へ
昨年2021年は某コロナの影響などもあり、なかなか思うように山を歩けない残念な年となってしまいました。その猛威は年が明けても収まるような気配はありません。世間では今後は “抑え込む” というよりいかにして “共存” していくか、という段階に突入していくとも言われていますが、そもそもの自己免疫を高めていくということも重要かと個人的には思います。
家に籠ってばかりでは運動不足だし、ストレスもたまる一方。
アウトドア、とくに山歩きはそんな自己免疫を高めるにはうってつけの文化でもあります。
昨年はトレーニングを除いてわずか3回しか山に行けなかったこともあり、感染拡大防止対策をしっかりとしつつ今年はもう少し積極的に山に足を向けるつもりです。
そんな2022年の最初の山歩きに選んだのは、ほぼ毎年歩いている秩父・長瀞の標高497mの宝登山。まだまだ冬真っ只中ですが、この宝登山山頂を黄色に染め上げる『ロウバイ』はこの時期には貴重な色彩を放つ花たち。昨年は残念ながら某コロナのこともあって愛でに行けなかったこの可愛らしい花たち。一昨年以来の約2年ぶりに会いに行きました。
今回のコース
さらに鈍りきった体を徐々に山仕様に戻すため、長瀞アルプスも併せて冬枯れの秩父路を楽しめたら…。ということで今回のコースは登山口である宝登山神社を起点として、
前回歩いた2020年1月の宝登山登山は単に宝登山を往復しただけでしたが、今回は中型ザックに三脚以外の撮影機材やペットボトルの水、本山行では必要のないアイゼンなど目いっぱい詰め込んで長瀞アルプスを “ボッカトレ” することをもうひとつの目的としました。
如何せん宝登山は一般的な観光目的の方でも楽に登れる低山なので、このくらい負荷をかけないと鈍りきった体に喝を入れることが出来ません。
寶登山神社
登山口となるこの寶登山神社(宝登山神社)の歴史は古く、約1,900年の歴史があるとされています。もちろんその名の通り宝登山を奥宮とする、山をご神体とする清き神社となります。
ちなみに寶宝登山神社の御祭神は神日本磐余彦尊(神武天皇)、大山祇紙、火産霊神。
たいへん立派な現在の御社殿は江戸時代末~明治初期に造り替えられた本殿、幣殿、拝殿からなる権現造り。随所に彫刻師飯田岩次郎による彫り物が目を見張る素晴らしい装飾が施されています。
私はこの宝登山に登るときはいつも長瀞アルプス側からではなく、この宝登山神社を起点としているのはある意味において無意識的にこの神域に入る前に拝殿するためなのかもしれません。
駐車場案内
この長瀞・宝登山は秩父路が誇る一大観光地。
公共交通機関も整備され、もちろん自家用車でのアクセスも良好。
駐車場もその分とても豊富で、長瀞駅周辺に多く点在しています。
料金もどこもほぼ変わらずで普通車500円/日、バイク300円/日ほどです。
蝋梅園へ
野鳥スポット?
宝登山神社から宝登山山頂直下の蝋梅園へは約1時間ほどの道のり。登山道と言うよりも林道に近い感じで九十九折りの山道をのんびりと登っていきます。
早朝のため野鳥の姿もたいへん多く、アオゲラ(アカゲラ)やシジュウカラ、ヤマガラ、アオジ、ヤマバトなどが見られました。他にもたいへん多くの野鳥が見られましたが残念ながら双眼鏡を忘れてしまい確認はできませんでした。ひょっとしたらこの辺りは野鳥観察の隠れスポットかもしれません。
宝登山の蝋梅園へのアクセスにはもちろん宝登山ロープウェイがあるわけですが、そのロープウェイを使わずこの道すがらバードウォッチングしながら歩くのもかなり良さそうです。
・運転開始時刻9:40(平日および土・休日ともに)
・運行間隔15分(平日は30分)
・最終便時刻は季節により異なります
・普通運賃 大人片道490円/往復830円(小人片道250円/往復420円)
・団体割引および特殊割引、手回り品料金などあり
・長瀞駅から山麓駅駐車場間の無料シャトルバス運行あり
・山頂駅から徒歩7分に宝登山小動物園あり
その他詳しくは宝登山ロープウェイ公式HPをご参照ください。
https://hodosan-ropeway.co.jp/
そんな野鳥たちの囀りを聞きながら朝のピリッとした空気の中ゆっくりと歩いていきます。朝の気温は -4℃ほどで、歩いていればさほど寒さも感じません。
徐々に体も温まったあたり、宝登山小動物園と山頂駅前のレストハウス(無料休憩所)への分岐にてレストハウス方面へショートカット。
さァ、まもなく蝋梅園だ。
『Winter Sweet』
宝登山山頂直下が黄色く染まるこの時期は、周辺にはどことなく甘い香りが漂っています。
『蝋梅』またの名を『Winter Sweet』
その名のごとく蝋細工のような可愛らしいお花。
触れたら壊れてしまいそうな、でもこの冬の厳しい寒さをもろともせずに咲く様は逞しさも感じます。
個人的には木に咲く花よりも土から顔を出す花のほうが好みで、梅や桜といったものにはあまり関心が向かないのですが、このロウバイにはなにか特別なものを感じます。
この広大な園地には約800株、約3,000本のロウバイが咲き誇っています。
基本原種で花の中心部分が紅紫色。
・素心
花の中心部も黄色で花びらの先端が尖っている。
・満月
花びらが丸く濃色。素心から選抜された品種。
その眺望と黄色く咲き乱れるロウバイのコラボレーションは圧巻で、まさに天空の楽園のよう。徐々に北から雲が出てきて小雪が舞うなか、澄んだ大気にこの黄色い可愛らしい花が抜群に映えます。
ロープウェイの運行時間となって人々も次第に増え始め、日差しも暖かになるころ蝋梅園には冬鳥のツグミが一生懸命落ち葉をひっくり返しながらエサを探していました。
冬の澄んだ空と素晴らしい眺望、咲き乱れるロウバイをひとしきり楽しんだ後、山頂にて小休止して長瀞アルプスへ向かいます。
長瀞アルプス
超人気コース
長瀞アルプスを歩くのは4年振りくらいでしたが、このコースがこれほど人気だとは知りませんでした。今回は宝登山からの下山として歩きましたが、ひっきりなしに登山者が宝登山に向けて登ってきます。これは週末の好天の冬の谷川岳天神尾根、または休日の高尾山並み。小さなお子様連れや団体様も多く、それほど広くない登山道ですれ違うのもなかなかたいへんでした。
この山は長瀞駅・野上駅どちらの登山口も駅近でアクセスもしやすく、季節柄ロウバイの最盛期。さらに好天の週末。この条件がビシッと揃うとこの界隈では有数の超人気コースとなると改めて感じました。
そんな賑やかな冬枯れした樹林帯を適度なアップダウンをこなしながらのんびりと歩きます。
ボッカトレ
先述しましたが今回はこのコースに似つかわしくない中型ザックに “重石” を詰め込みました。カメラ2台にレンズ4本、多めの水、(必要のない)アイゼン。さすがに三脚こそ担ぎませんでしたがそれでもなかなかの重量感。
私は以前はトレーニングのためジョギングをしていたこともありましたが、やはり登山にもっとも効果的なトレーニング法は “登山” と悟りました。
それも負荷をかけた登山。
実践こそもっとも効果的なトレーニング。
登山で使う筋肉は登山で鍛えるのがもっとも理にかなっています。
標高の高さや獲得標高、長さは問題ではなくしっかりと登山靴を履き、山を歩くのが一番いい。
秩父鉄道野上駅へ
長瀞アルプスも最終盤になると冬枯れの木々の間から眼下に街並みが見えてきます。最後は民家の間を抜けて、屋根の改修中の萬福寺を横目に見ながら街に下ります。
野上駅へは10分ほど。
途中蔵造を思わせる雰囲気の良い民家もちらほら。
その道すがら山を見上げると歩いてきた長瀞アルプスの尾根も見え、ゆるハイクとは言え久しぶりの里山歩きを無事怪我も無く遂行できたことに安心しました。
関東とは言え味わいのある駅舎がある種のノスタルジックな牧歌的な心象風景をもって迎えてくれます。
最後に再び賑やかな観光地、長瀞駅に下りて短い本山行は終了しました。
山行記録まとめ
本コース、標高500m未満の山らしく特に危険箇所などはありません。私は長瀞スタート野上駅ゴールとしましたが、反対に野上駅スタート長瀞ゴールとする方のほうが圧倒的に多いような印象です。
長瀞アルプスは以前にも日記にて書きましたが “アルプス” と名がついてもそれ相応の展望が楽しめるという尾根ではありません。この時期はまだ花もなく里山然とした冬枯れの樹林帯を黙々と歩くという感じです。尾根の途中、長瀞駅へショートカットする登山道があるため、体調不良や緊急時にはエスケープルートとして使うことができます。
総行動時間としてはロウバイの撮影や小休止含め約4時間半。
下山後に長瀞の景勝地として有名な岩畳など織り込めば充実したハイクとなると思いますし、小さなお子さん連れでしたら宝登山ロープウェイ山頂駅から徒歩7分の宝登山小動物園などもあります。
2022年の山
非常に短いコースではありましたが見どころも多く、とても有意義な里山ハイク、ゆるハイクで今年のスタートを切れました。よくよく考えると夏靴で山を歩いたのは2021年5月のボッカトレ以来。
今年2022年は積極的に山を撮影したいと思いますが、こればっかりは某コロナの情勢次第でしょうか。歩きたい、撮りたい山はそれこそ山ほどありますが、まずはしっかり準備をしてその機会をうかがいたいと思います。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。