いざ新潟へ
2021年3月は毎年恒例となりつつある春の天城高原へ天体撮影遠征しましたが、やはり4月もさそり座やいて座付近の星々を目的として天城高原へ再び遠征する予定でした。しかし残念ながら遠征当日、GPVでは関東地方は全般的に夜になると雲に覆われる予測となっていたため天城への遠征は諦め、夜間も晴れ予測が出ていた新潟方面へ遠征。
天体写真に関しては主に長野や群馬、静岡で撮影していて新潟では星野写真は撮影したことがほとんどありませんでした。
今後の撮影の事もあるので今回の遠征は新潟方面での星野写真撮影地の開拓の意味もありました。この日は初めて訪れる撮影地だったので不安もありましたが、その不安が的中してしまいました。目的の撮影地はあまり天体写真撮影地として有名なところではないので詳しい場所はここでは差し控えますが、目的地まで除雪がまだされておらず通行止めとなっていました。
やはり山間部の撮影地は4月上旬では林道や山間の生活道路ではないところは通行止めも視野に入れて撮影地の選定をすべきでした。今回は星野写真は早々に諦めて、以前から題材として構想があった越後の山々を絡めた星景写真の撮影に切り替えました。
軽量で軽快なポタ赤はこういう『小回り』が利くのが良いところでもあります。
南魚沼でみる天の川
実は数年前から越後三山や巻機山など、南魚沼の名峰をテーマとした星景写真の構想がありました。
私はこの辺りには山岳撮影だけでなく様々な撮影をしに足繁く通っていますが、そんな折はいつも残雪の名峰と天の川を撮影できるスポットのロケハンも行っていました。
つまりこの名峰たちを南東方向に見る場所で、街灯が無く、撮影機材を設置できるところ。候補はいくつかありましたが、今回はその中の一か所を使って撮影することとしました。
もちろん関東に比べれば空は圧倒的に暗いのですが、さすがに南魚沼と言えども多少は山間部の方へ上がって行かないときれいな天の川は見れないと思っていました。しかし今回の撮影場所は幹線道路から少し車で入った魚野川のそば。言ってみれば街中のようなところでしたが、空自体はとても暗く、街灯からも離れていることから2時頃にはなんと肉眼でも天ノ川を十分に確認できました。
これにはびっくりしました。
関東の都市部では絶対に考えられないことです。
この辺に住んでおられる方はそれこそ家に居ながらにして天の川を肉眼で見れてしまう。
改めて星を撮影するには新潟は最高の空を提供してくれるところと思いましたが、残念ながら一年を通じて晴天率はあまりよくありません。透明度の高い美しい星空が見れるのは冬型から解放されたこの時期くらいではないでしょうか。
今回は越後駒ケ岳と八海山に天の川を絡めるポイントでの撮影でしたが、次回またチャンスがあれば残雪が美しい巻機山に天の川を絡める構図で撮影してみようと思います。
六万騎山の花々
残念ながら星野写真は撮影できませんでしたが、仮に撮影できたとしても実は今回の遠征目的は星撮りだけではありませんでした。折角こんな素晴らしい雪解けの自然風景に出会える南魚沼に行くのだから、と里山の花々を愛でるという目的も併せての遠征でした。
1年前のこの時期はカタクリが咲き乱れる坂戸山を歩きました。
坂戸山よりさらに気軽に歩けるこの六万騎山はこの時期まさに “カタクリ山” と言っても差し支えないほどのカタクリまみれの里山でとても人気があります。
麓の駐車場から山頂を経てグルッと周回しても1時間ほど。
しかしおそらくほとんどの登山者は咲き乱れる山野草に足止めを食らってこのコースタイムでは歩けないでしょう。登り始めからすぐに登山道を彩る美しい春の花々が咲き乱れ、それが歩き終わるまで途切れることなくずっと続いていきます。
特によくもまあこんなに咲くものだと面食らうほどのカタクリの群落は圧巻の一言。
神社のある登山口からの序盤はそのカタクリの群落にキクザキイチゲやユキワリソウ、コバイモ、各種スミレ類がまさに競うように咲き誇っています。
魚沼平野を見下ろせる山頂には山桜も咲き、南方面を眺めれば真っ白な苗場山塊が輝いていました。
まさに “南魚沼の春” を実感できる素晴らしい展望。厳しい寒さに耐えてきた分、雪解けとともに生命の力強さを感じられるのはこの地域の素晴らしいところ。
山頂から反対側へ下りる登山道から先はイワウチワやショウジョウバカマ、イカリソウも春の陽光を浴びて咲き誇っていました。花を愛でながらのんびり歩くと時間はあっという間に過ぎて、2時間あまり堪能しました。
新緑の南魚沼へ
近年稀にみる大雪だった2020~21年の冬も終わり、これからは急速な気温上昇とともに一気に雪解けを迎える南魚沼。山々も田畑も、美しい水流も徐々に生命力を漲らせて大きな自然の力をひしひしと感じられる季節。
また近いうちにこの圧倒的な生命力に満ちた美しい南魚沼の自然に会いに行こう。
とは言えこのご時世。
感染症の拡大防止に努めながらミニマムな撮影行にせざるを得ないのは致し方ない。
はやく何の気兼ねもなくたっぷりと自然を満喫できる世の中になってもらいたいものだ。