早春の福寿草、秩父固有種『秩父紅』に会いに

DIARY

2022年2月、まだ少し肌寒さ残る早春。
スプリング・エフェメラル(春植物)の中でも最も早く春を告げる福寿草。今回はその中でも秩父山系のみに咲く“幻の福寿草”とも言われるオレンジ色に輝く『秩父紅』に会いに行ってきました。

(目次)

  • 春の妖精、スプリング・エフェメラル
  • 秩父固有種『秩父紅』
  • Mahora稲穂山 (皆野町)
  • 午前は散策
  • 福寿草開花!



春の妖精、スプリング・エフェメラル

“春の妖精”とも呼ばれるスプリング・エフェメラルは、早春に土から顔を出して花が咲き夏まで葉をつけ、その後は再び地下で過ごす一連の山野草の総称です。このスプリング・エフェメラルについては以前にコラムで記事にしましたので詳しくはそちらをご参照いただければ幸いです。

早春の妖精たち『Spring Ephemeral』

春植物が顔をのぞかせるこの時期はまだまだ寒い日も多く、せっかく花を咲かせても寒波や南岸低気圧によっては雪に埋もれてしまう年もあるくらいです。そんな早春、我々をモノトーンの冬景色からカラフルな春の息吹をいち早く楽しませてくれる山野草たちの健気さはとても愛おしい存在となります。

福寿草やセツブンソウ、カタクリ。

カタクリの群落

セツブンソウ

その主役たちとともにアズマイチゲやキクザキイチゲに代表されるイチリンソウ。
そしてニリンソウ、コバイモ、エンゴサクなどなど。
色鮮やかな山野草たちがいち早く春を告げてくれます。

アズマイチゲ

秩父固有種『秩父紅』

福寿草のなかでも“幻の福寿草”とも言われる『秩父紅』はまさに紅色、オレンジ色の花で鑑賞者を楽しませてくれる秩父地方の固有種。江戸中期の前、秩父山系の自生種または移植された福寿草から突然変異によって出現したと推測されています。現在では園芸種の一つとしても知られています。

福寿草はその名の通りとても縁起の良い山野草。
太陽の日差しを受けるとお椀上にパッと花開き、パラボラアンテナのように太陽のエネルギーを吸収しているように見えます。

フクジュソウ

今回はこの福寿草の秩父固有種を愛でに出かけました。

Mahora稲穂山 (皆野町)

『秩父紅』を求めて出かけたのは埼玉県は皆野町にある『リトリートフィールドMahora稲穂山』
私は以前、5年ほど前に一度訪れたことがありましたが、その時は『ムクゲ自然公園』という名称でしたが2021年1月から現在のMahora稲穂山としてリニューアルされています。

Mahora稲穂山
・所在地 〒369-1412 埼玉県秩父郡皆野町大字皆野4048−1
・営業時間 9:00 -16:30(火曜定休)
・整備協力金 500円(中学生以上)
・開花時期 例年2月中旬~3月上旬





午前は散策

公園内にある駐車場の手前に受付小屋があり、そこで入場料(整備協力金)500円を支払いつつスタッフの方に丁寧に場内の案内をしていただけました。公園と言っても稲穂山と言われる通り小高い山を切り開いた公園となっており、そこそこ広い敷地となっています。

駐車場近くのUFO的建物

秩父紅が群生するポイントは南西向きなので午前の早い時間帯では残念ながらまだまだ花が開いてはいません。しかし気の早い黄色い福寿草はちらほら咲いていました。

園内にはトイレやベンチ、ブランコもたくさん

お目当ての秩父紅はまだ開花前

ということで太陽が高くなって花が開くまで園内を散策します。

園内にはお昼ご飯が頂ける施設や森の美術館、稲穂山古墳をはじめとした秩父盆地を望める多くの展望スポット、そしてそれらを結ぶ散策コースなどが整備されています。

そしてとくに目立つのはロウバイの多さ。
散策路のあちこちにいっぱい咲いています。

可憐に咲くロウバイ

まるっと咲くかわいらしいロウバイ

そんなロウバイを眺めながら、
そして朝の野鳥たちのさえずりを聞きながら、
山道を歩いて体をリフレッシュさせるにはこの公園はもってこいの環境となっています。

森の美術館あり

稲穂山古墳あり

特に小高い山の公園ということで所々にある展望スポットでは日本百名山のひとつ両神山や、秩父のシンボル的なピラミタブルな武甲山をはじめとした秩父山系の山々が、眼前の秩父盆地の街並みとともに雄大に広がっています。

稲穂山古墳にほど近い展望スポット

両神山

中腹にある山野草コースも一応チェックしてみましたが、さすがにまだ何も咲き始めてはいませんでしたが、あと1ヶ月くらいすれば咲き始めるでしょうか。

曲りなりにも山をやっている性分だからでしょうか、時間つぶしのため軽くあたりを散策するだけのつもりでしたが、そこに山があるとつい上まで登ってしまいます。

気づけば一番上の展望スポットまで登って、そこで軽く休憩しました。

武甲山と秩父盆地の眺望

この時期は秩父紅だけを目的とする観光客も多いようで、一番上の展望スポットは人もまばら。のんびりとおいしい山の空気を吸いながら日光浴を楽しみました。

実はここの名物はこの眺望を楽しみながら出来る空中ブランコ。
(さすがに身分をわきまえ漕ぎはしませんでしたが…)

展望ブランコ

軽く汗をかきつつ山の空気も味わえた頃合い、ちょうどお昼の12時のチャイムが聞こえたあたりでのんびりと下の方へ降りていきました。



福寿草開花!

13時ごろにまた秩父紅の群生地に戻ってみると今度は元気に咲いていました。
ということで、もしこの福寿草だけを目当てに来られるのでしたらお昼過ぎから花が閉じる15時あたりがねらい目になると思います。

今年は例年になく寒い冬のためか、確かにまだ群生とまではいきませんが、それでも多くの株が咲き始めていました。

魅惑の秩父紅

気品の高さを感じる紅色の福寿草

黄色い福寿草と秩父紅の共演

まさに花びらを太陽に向けていっぱいに開いている福寿草。
そしてそれにつられて虫たちもこの福寿草に近寄ってきています。

時より少し肌寒い風が吹きますが、不思議なものでこの紅色の福寿草を見ていると何だか暖かい心持になってきます。

太陽に向かって…

黄色い福寿草もたくさん

暖かなぬくもりを感じられる秩父紅。
もう少しで暖かな春がやってくる。

春はもうすぐそこ…。

春近し…