つい先日、キヤノンからフルサイズCMOSセンサーを搭載したRFマウントのミラーレス一眼カメラのエントリーモデルである『EOS R8』の後継となる『EOS R8 MarkⅡ』の正式発表がありました。発売予定は2026年10月29日でボディ単体販売のほか、単焦点レンズキットや標準ズームレンズキットでの販売も用意されています。
キヤノンの公式オンラインショップでは本体価格は275,000円、45mmの単焦点レンズキットが317,900円、そして24-105mm F4の標準ズームキットが324,500円となっており、おおかたの予想通り初代『EOS R8』から若干の高価格帯へとシフトしています。

発表された『EOS R8 MarkⅡ』
『EOS R8 MarkⅡ』の特徴や詳しいスペックなどはキヤノンの公式製品ページをご覧ください。
EOS R8 MarkⅡ|レンズ交換式カメラ・レンズ
なんと驚くべきことに、発表と同時に20,000円の発売記念キャッシュバックキャンペーンの発表もあり、キヤノンのこの機種に対する大きな期待と自信が窺えます。しかも対象のレンズやアクセサリーを同時購入するとキャッシュバック金額の増額もあるとのこと。以下にキャンペーンの概要ページをリンクしますので、ご興味のある方はチェックしてみてください。
EOS R8 MarkⅡ発売記念キャンペーン|キヤノン
実は熱心なキヤノンユーザー
筆者は今までこのブログにてレンズレビューやカメラレビューをさせていただいてきたように、フィルム時代からニコンを愛用してきていますし、デジタル移行後もしばらくはニコンを使っていました。ここ数年はフジフイルムの『GFX』へとメイン機を完全移行し撮影を楽しんでいますが、筆者にとってはニコンというメーカーは昔から馴染みのあるメーカーですし、いまでも好きなメーカーのひとつです。
日本のカメラ事業をフィルム時代からそのニコンと二分してきたと言えるキヤノンですが、なぜか個人的にはまったく縁のなかったメーカーでした。しかし筆者は天体写真も撮影することもあって、メインの撮影鏡筒をニコンの望遠レンズ群からタカハシのニュートン式反射望遠鏡『ε-130D』に変更する際に、カメラも天体撮影の分野では定評のあったキヤノンのデジタル一眼レフの名機『EOS 6D』を中古購入し、赤外改造 (SEO-SP5) して今でも撮影で愛用しています。

天体撮影用に中古購入した『EOS 6D』
さらに筆者は写真プリントにおいてはキヤノンのA3ノビ対応の写真専用高画質顔料プリンター『imagePROGRAF PRO-G1』を愛用しています。実際にこのプリンターで出力した山岳写真のオリジナルプリントを個展(2024年2月開催)でも展示させていただきました。
つまり筆者は歴とした “キヤノンユーザー” でもあるわけです。
『EOS R8 MarkⅡ』のスペックと所感
さて、そんな筆者の個人的なことは読者の方々にとってはどうでも良いわけで、いつものように新しいこの『EOS R8 MarkⅡ』の基本スペックを確認していきましょう。今回は当然ながら3年半前に初めて『8』とナンバリングされた前モデルである初代『EOS R8』との比較です。どれほどの大きな進化を遂げたのか、表にして並べることでよくわかると思います。(進化というよりは出し惜しみしなかったと言うべきでしょうか…)
| 主な仕様 | EOS R8 MarkⅡ![]() |
EOS R8![]() |
| 発売 | 2026年10月 | 2023年4月 |
| 撮像センサー | 有効画素数2420万画素 | 有効画素数2420万画素 |
| 撮影感度 | 常用ISO100~102400 拡張ISO50~204800相当 |
常用ISO100~102400 拡張ISO50~204800相当 |
| 手振れ補正 | あり (最大中央7.5段 周辺7段) | なし |
| ファインダー | 約236万ドット 0.39型OLEDビューファインダー |
約236万ドット 0.39型OLEDビューファインダー |
| モニター | 3.0型TFT式カラー液晶 バリアングル 162万ドット |
3.0型TFT式カラー液晶 バリアングル 162万ドット |
| 記録媒体 | SDカード(UHS-Ⅱ対応) ボディ横に専用1スロット |
SDカード(UHS-Ⅱ対応) バッテリー室に1スロット |
| デジタルテレコン | あり(切 / ×2.0 / ×4.0) | あり(切 / ×2.0 / ×4.0) |
| 撮影可能枚数 | 省電力優先:約220枚 なめらか優先:約150枚 |
省電力優先:約220枚 なめらか優先:約150枚 |
| 対応バッテリーパック | LP-E17 | LP-E17 |
| 外形寸法 | 131.4mm(W) 90.0mm(H) 79.7mm(D) |
132.5mm(W) 86.1mm(H) 70.0mm(D) |
| 質量 | 約546g(バッテリー、メモリーカード含む) 約499g(本体のみ) |
約461g(同) 約414g(同) |
大きな進化といっても実は中身自体はほぼ一緒。
撮像センサーはとくに新開発のセンサーといった文言はなく、画素数も変わらないので初代からの据え置きと思われます。且つ映像処理エンジン『DIGIC X』も一緒なので、出てくる画像自体は初代『R8』と基本は同じ。バリアングル液晶やEVFの性能も一緒、使用バッテリーも容量の少ない『LP-E17』で変わらず。大きく変わったところはデザインを含む外側と、強力なボディ内5軸手振れ補正が搭載されたところでしょうか。
高画素化が進む昨今において2,420万画素というのは今や相対的に “低画素機” とさえ言えるかもしれませんが、実はとてもバランスの取れた画素数のように思います。サクサクとスナップ撮影してもストレージを圧迫しない軽いデータ量、高感度におけるS/Nの良さなどは高画素機よりも圧倒的に有利なはずです。
クロップ耐性こそ低いですが、そもそも医療や科学、防犯、歴史および文化的資料保存など専門的な分野以外での一般用途であれば実はまったくもって十分すぎる解像度なのです。1億画素のセンサーを有している『GFX』を使っている筆者はとくにそれを実感しています。筆者が撮影している対象のなかで高画素の恩恵を最も受ける撮影対象はズバリ『天体写真』だと感じています。
2,420万画素に抑えた恩恵は測距輝度範囲においても有利に影響し、静止画撮影時では -7.5EVまで測距可能ということで、これは暗所でのAFにおいては上位機種である『EOS R5 MarkⅡ』の -6.5EVよりも性能が高い部分です。
スペック上では新型になっても撮影可能枚数に変化はありませんが、この手振れ補正機能による消費電力分込みで同じと考えて良いのでしょうか?そのあたりにも少し疑問が残ります。ただ逆に考えると上位機種で使われているような大型のバッテリーと比べて『LP-E17』は安価に手に入れることができるので、バッテリーを多めに持っておくということで対応できなくもないですね。(交換頻度が多くなり煩わしいですが…)
外観の変更点を中心に、その他細かな点も含めて以下で初代『R8』と比べてみましょう。
『Ⅰ』→『Ⅱ』への変更ポイント
まずはフロントの比較です。

『EOS R8 MarkⅡ』正面

『EOS R8』正面
初代には左肩正面に製品名『R8』の刻印がありましたが、新型は単に『EOS』という刻印のみとなり、なで肩ではなくなったことも合わさってシンプルで精鍛なマスクとなったように感じて個人的にはこちらの方が好みです。ペンタ部がせり上がった分、すこし高さも増して若干大きくなった印象です。
つぎは背面側の比較です。

『EOS R8 MarkⅡ』背面

『EOS R8』背面
それに伴い『AF-ON』ボタンの位置が内側に変更され、マルチセレクターと親指の間に配置されました。これもとても使いやすい位置ではないでしょうか。筆者は撮影する際のAFはいわゆる “親指AF” で行っているのでこれも素晴らしい変更に感じます。このあたりを考慮するとこの新型の『R8 MarkⅡ』はもはやエントリーモデルではなく安価な中級機としての位置付けでも良いと思えてきます。
つぎは左側面の比較です。

『R8 MarkⅡ』左側面

『R8』左側面
その反面、比較的すっきりとしていた背面が新型になって凹凸が大きくなったので、カメラバッグ等に収納するときには引っかかりが多くなるようにも感じます。このあたりは一長一短でしょうか。
つぎは反対の右側側面の比較です。

『EOS R8 MarkⅡ』右側面

『EOS R8』右側面
よくカードスロットがバッテリー室と共有していると三脚に据えているときにSDカードの交換がやりにくいと言われますが、それは大容量のカードを使えば問題ありませんし、それよりも先に間違いなく容量の少ないバッテリー『LP-E17』の交換の頻度が多いはずです。筆者が少し気になるのはバッテリー室とカードスロットを共有してしまうと天体撮影などの長秒撮影時にバッテリー室にこもった熱がカードに伝わり悪影響 (例えばノイズなど) を与えないだろうかと心配になる点です。
カードスロットがグリップに新設されたと言ってもスロット自体は “シングルスロット” で変更はありません。シングルスロットですと例えばRAWとJPEGを分けて保存したり、バックアップ保存したりできませんが、そのようなリスク管理を伴うような撮影をされる方はより上位の機種を使ってくれ、ということなんだと思います。
それとそもそもこれは『R8 MarkⅡ』に限った話ではないですが、どのカメラもそろっとリコーの『GRⅣ』のように大容量の内蔵ストレージを搭載してほしいですね。あんな小さな筐体で出来るのですから一眼カメラで出来ないはずはないのですが。そうなればSDカードスロットがひとつでも何の文句も出てこないと思いますが。
最後に軍艦部の比較です。

『EOS R8 MarkⅡ』の天面

『EOS R8』の天面
これに関しては個人的にはちょっと微妙な変更点に感じます。例えばオフ状態から勢いよく「バシッ」とオン方向へ回した時に勢い余って動画撮影モードにならないかと心配になります。しかも初代とはスライドする方向が逆になっています。個人的には静止画と動画の切り替えは、あえて操作し辛い左側にあったほうが間違いが起こらないように思いますが、どうでしょうか。こればかりは実機で試してみないと分からない部分ではありますが、案外使っていけば慣れてしまうのかもしれませんね。
それと余談ですが、以前はキヤノン機といったら電源スイッチは左側にありました。筆者が使っている『EOS 6D』をはじめ、ほとんどがそうだったはずです。対しニコンは右側にありました。当時の筆者はニコンで慣れていたわけで、右手ですべてカメラ操作できることが当たり前でした。カメラを掴むときは当然グリップを掴んで構えるわけなので、電源ボタンは絶対に右側にあったほうがスムーズにオンオフできるはずです。手で掴んで構える動作をしながら電源を入れることに慣れていた筆者にとって、キヤノン機は扱いづらかった印象がありました。でもいつの間にかキヤノン機も右側に電源スイッチが配置されるようになったんですね。
上部から2機種を見比べるとボディの厚みがあきらかに増したようにみえますが、当然ながらこれは手振れ補正機能や専用カードスロットなど多くの変更を加えたためでしょう。初代はスリム、新型はマッシブという印象です。
そのほか、重量については当然ながら初代『R8』から若干重くなりましたが、これだけの機能を盛り込んだ高性能なカメラがわずか550gというのは驚異的としか言えません。
最近では多くの機種で採用されている『プリ連続撮影 (いわゆるプリキャプチャ―) 機能』や『被写体検出機能』、気軽にフィルムルックの色調を楽しめるフィルター機能、そして6Kからのオーバーサンプリングによる4K60Pや本格的なLog撮影など動画に関しても高機能が盛り込まれています。上位機種への忖度のため初代『R8』はいわゆる “出し惜しみ感” がありましたが、今回のアップデートでは考えられうるほぼすべての機能を盛り込んできたような印象があります。
これだけの機能が入ったわりには公式のオンライン価格27.5万円はよく抑えてくれたと思います。成熟しきったようにも感じる昨今の撮像センサー開発ですが、そこをあえて踏み込まず初代から流用することで価格を抑えたくれたことは、このような中級機の価格面の良さでもあると感じます。なによりスタートダッシュで2万円のキャッシュバックを量販店で併用すれば実質23万円弱で購入できそうです。このカメラをぜひ使ってほしい!というキヤノンさんの思いが伝わってくるようです。
トータルバランスのたいへん優れた良いカメラであると思いますが、あえて個人的な理想だけを望むのならば、手振れ補正機能は省略してバッテリー持ちの維持または向上と、それによる小型化や重量減を目指してほしかったとは思っています。
魅惑のRFマウントレンズ
冒頭にて筆者は歴としたキヤノンユーザーと申し上げましたが、もっと正確に言うとEFマウントユーザーです。ですからRFマウントのカメラやレンズは全くと言っていいほど使ったことがないです。しかしこのRFマウントのレンズ群をキヤノン公式の製品ページでつらつらと眺めているととても魅惑的なラインナップに見えてきます。
以前はニコンのZマウントのユーザーでもありましたが、ニコンのZマウントのレンズ群にはFマウントの正常進化的な、いわゆる良い意味でも悪い意味でもニコンらしい生真面目で質実剛健的な進化にとどまっていると感じました。せっかくあれほどの超大口径マウントを採用したにもかかわらず、それに見合った大胆で革新的な進化を個人的には感じられなくて、今思えばそれで筆者はニコンを見限って『GFX』に完全移行したといっても良いかもしれません。
それに対しキヤノンのRFマウントのレンズ群は一眼レフ時代では到底無かったような面白いレンズがとても多い印象です。筆者にとっても、お世辞にも使い勝手の良いレンズとは言えないGFX用のGマウントレンズ群では決して真似できないようなスペックのRFレンズ群に、今はとても興味が湧いています。
そのいくつかを挙げてみます。
①『RF14mm F1.4 L VCM』

14mmと超広角ながら大口径F1.4を実現
仮にRFマウントのカメラを手に入れたら絶対に使ってみたい筆頭のひとつ、超広角の大口径単焦点レンズ。EFマウントには『EF14mm F2.8L Ⅱ USM 』というレンズがありますが、ニコンの名玉ズーム『14-24』と明るさは同じという辛酸を舐めていましたが、この新しいF1.4の大口径レンズは、これでしか撮れない領域の写真が撮れます。
公式製品ページでも “星景押し” となっていることもあって景色を入れた星空の写真ではこのF2.8との2段分の差は大きな武器になります。2段分とはつまり4倍の集光力があるわけですから、理論上はF2.8で1分露光した光量を15秒で取得できることになります。14mmと言えども1分も露光しては星は日周運動によって伸びてしまいますが、15秒くらいならよほど拡大しないかぎり点像を保てるでしょう。しかも大口径にもかかわらず578gと軽量筐体。
残念ながらフロントへのフィルター装着には非対応で、リアにもフィルターを装着するホルダーはありませんが、『GFX』では到底無理であろうこのようなスペックのレンズは筆者にはすごく魅力的に感じるのです。
②『RF45mm F1.2 STM』

安価でありながら大口径F1.2を実現
なんと公式オンライン価格で66,000円と安価にもかかわらずF1.2という大きなボケを楽しめる大口径レンズ。しかも約346gという軽量でコンパクトな筐体が特徴。これもRFマウントではぜひ使ってみたいレンズの筆頭です。実際に今回の『R8 MarkⅡ』ではこのレンズキットも売り出されるということで、このユーザーフレンドリーさもキヤノンの魅力だと思います。街に出て気軽にスナップしたり、この軽量セットで山を歩いたり、撮影者の行動範囲を広げてくれる素晴らしいレンズではないでしょうか。
仮に『GFX』でF1.2という大口径レンズが存在したとしたら、はたしてどのくらい巨大で重くて高価なレンズになることでしょう。想像すらできません。
③RF28-70mm F2 L USM

画期的な大口径F2通しの標準ズーム
RFマウントのレンズはズームレンズも革新的。その中でもこのF2通しの大口径ズームレンズは存在感あります。F2のボケ感は単焦点並みと言って良いですから、これはまさしく28mmと35mm、50mm、そして70mmという4本の開放F2の単焦点レンズを交換なくシームレスに使えると言って差し支えないでしょう。
重量と価格を許容できればこのレンズさえあれば標準域はなにも必要ないようにも感じます。解像度に関しては高画素のカメラを使用したり後処理で補えますが、1段分の明るさだけは後からでは補うことはできません。
④RF70-200mm F4 L IS USM

開放F4通しの望遠ズームとは思えないコンパクトな筐体
キヤノンの望遠ズームと言えばF2.8通しのズームレンズが優秀な光学系としてたいへん有名ですが、筆者はこのF4通しの望遠ズームのほうが革新的なものを感じました。読者のみなさんはこのレンズを目にしたことがありますでしょうか?筆者が初めて店頭でこのレンズを手にしたときは衝撃的な印象でした。約700gという軽さはもちろんのこと、驚いたのはその筐体のコンパクトさです。製品ページにある謳い文句ではありませんが、これはF4通しの標準ズームレンズと同等のサイズ感を達成している希有な望遠ズームレンズです。望遠ズームは長い、という概念を見事に打ち砕いてくれました。
もちろん望遠側にズームすることでスルスルとレンズが前方に伸びはしますが、最短状態でカメラに装着していれば誰もこれが望遠ズームだとは気が付かないのではないでしょうか。それくらいのコンパクトさです。
他にも魅力的なレンズが多いRFマウントのレンズ群ですが、そのどれもが筆者がメインで使っている『GFX』の弱点を補うようなものばかりです。ということで『GFX』のサブとして、または体力的に限界を感じて『GFX』を手放すことになった場合の受け皿として、RFマウントに移行するのもアリだなと考えてもいます。
大いに期待したい『R8 MarkⅡ』
途中から肝心の新しいカメラ『R8 MarkⅡ』から外れてRFマウントレンズの話になってしまいましたが、筆者はこのキヤノンの意欲的な新型カメラに大きな期待を寄せています。それまでのキヤノンのデザインを一新してまで市場に新型カメラを投入した意味、カメラ業界のトップリーダーとして変革を恐れないチャレンジ精神、消費者が求めるトレンドにすばやく対応する柔軟さ。これが本当の意味でのキヤノンというメーカーのアイデンティティではないかと思うのです。曲線的で流線形のエルゴノミクスデザインの拘りがキヤノンの本当の企業アイデンティティではないんだと、そう市場に対して宣言しているようにも感じました。
キヤノンの変革の第一歩と言える『EOS R8 MarkⅡ』を期待して待ちましょう。
今回の記事は以上になります。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。





