その形状が小鹿(バンビ)に似ていることから通称『バンビの横顔』と称される、いて座にある星の密集エリアです。一般的には『M24』とメシエ番号が付けられた散開星団を内包し、さらに細かく見ていくとバンビの鼻あたりにある散開星団『NGC6603』を中心とした実にカラフルな星々によって構成された星域となります。
天の川のもっとも明るい中心部分の星の密集エリアは『Great Star Cloud』と言われるのに対し、こちらは『Small Star Cloud』とも言われています。この星域の南北には『M8・M20』や『M16・M17』などもあり、まさに初夏の代表的な星域、ハイライトとして撮影に観望にたいへん人気のある対象と言えるでしょう。
この対象は個人的にも過去にカメラレンズを使用して何度も撮影してきましたが、こちらの画像はタカハシのニュートン式反射望遠鏡『ε-130D』で捉えたものになります。もちろんカメラレンズはそもそも天体撮影に特化した光学系ではないので、どうしても色収差というものが付いてまわるので、この煌びやかでカラフルな星々を捉えるには力不足と感じていました。
タカハシ ニュートン式反射望遠鏡『ε-130D』導入①|Shades of Heart
この鏡筒を手に入れてまず作品として撮影しようと思ったのがまさにこの対象で、やはり想像通りの色彩豊かな星々を色収差なく煌びやかに捉えてくれました。
カメラ Canon EOS 6D (SEO-SP5)
鏡筒 TAKAHASHI ε-130D (430mm F3.3)
架台 CELESTRON Advanced VX (RA only)
ガイド鏡 SVBONY SV165(30mm F4)
ガイドカメラ QHYCCD QHY5L-ⅡM
ガイディングソフト PHD2 (RA only)
フォーカサー ZWO EAF
ダーク減算 RStacker(24枚)
フラット補正 RStacker(75枚、フラットダーク49枚)
現像 ADOBE Camera Raw
コンポジット DSS(200秒×24枚 計1時間20分 ISO1600)
画像処理 ADOBE Photoshop CC
その他
・QHYCCD Polemaster
まさに夜空という漆黒のベルベットのカーテンに色とりどりの宝石を散りばめたような見事な星域ではないでしょうか?宇宙の生命感や途方もない無限の広がりとパワーを感じる、実に美しい領域と言えるでしょう。
・赤経 18h19m19 (NGC6603以下同じ)
・赤緯 -18°23′48″
・正中日 5/12(AM03) 8/11(AM09)
・正中高度 約36°
・『M24』(バンビの横顔) は東南東から上がり、正中高度が約36°に達しますのでおよそ北極星くらいの高度まで上がることになりますが、やはり南方面の光害の影響を強く受けます。極力、南方面に大きな都市などが無い撮影地で撮りたいところです。
・この領域は天の川銀河の中心付近にあたり、まさしく星の密集地帯なのでとてもよく写ります。しかしその分、使用する光学系の非点収差や倍率色収差などが撮像(星像)に直接影響を及ぼすことになるので、多少暗くても収差の少ない光学系を使ってみるのも良いかもしれません。