『OM SYSTEM PEN』の正式発表

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つい先日、OMデジタルソリューションズ(以下OMDS)より『OM SYSTEM PEN』が正式発表されました。発売開始は2026年10月下旬。公式のオンラインストアでは一部11月以降のお届け予定となっているようです。“OM SYSTEM” として初めて『PEN』の名を冠したマイクロフォーサーズ規格のレンズ交換式のコンパクトなミラーレスカメラとなります。

カラーはシルバーとブラックの2色展開、さらに各色それぞれボディ単体やズームレンズキット、ダブルズームレンズキット、そして公式オンラインストア限定として単焦点レンズキットなども用意されているようです。

詳しくは公式発表されたニュースリリースや公式製品ページをご確認ください。↓
NEWS RELEASE (PDFファイル)
PEN (基本情報)|OM SYSTEM 公式サイト

発表された新型PEN (black)

PENシリーズ

オリンパスの歴史はとても長く、顕微鏡メーカーとして1919年に『高千穂製作所』として発足。1936年には今ではお馴染みのレンズ『ズイコーレンズ』*を搭載したオリンパス初のカメラ『セミオリンパスⅠ』を発表。1948年には『オリンパス35Ⅰ』を発売し、翌1949年に社名を『オリンパス光学工業』と改称。医療用のカメラと一般カメラの両輪で事業を展開し、1959年に画期的なハーフサイズフィルムカメラ『オリンパスペン』を発売しました。その歴史を踏まえるとこの “PENシリーズ” は実に70年弱にもおよぶ長寿シリーズとなります。

『ZUIKO』の由来
オリンパス(現OMDS)のレンズと言えば『ZUIKO(ズイコー)』ですが、開発当時、光学設計は高千穂製作所の同敷地内にある瑞穂光学研究所にて行っており、そこから “瑞” と “光” をとって “瑞光” という名称になりました。もともと “瑞光” とは吉兆をもたらすめでたい光のことを指す言葉でもあります。
個人的な話しになりますが、実は筆者はオリンパスのカメラには縁のようなものを感じています。筆者は19歳のときに初めてカメラを手にしたのですが、それが中古の35mm判フィルム一眼レフカメラ『OM-30』でした。シャッタースピードも絞りも、そしてフィルム感度などの露光に関する知識がまったくなかった当時の筆者は、この『OM-30』で写真を撮影しながら独学で学んでいきました。その後、デジタル時代となってサブとしてコンパクトな『PEN-F』を購入したり(手放してしまいましたが)、そしてフィルム懐古としてレンジファインダーカメラ『OLYMPUS 35SP』を新たに購入してフィルム写真を今でも撮って楽しんでいます。

OLYMPUS-35SP ~オリンパス35SP フィルム再考~

“PENシリーズ” の当初のコンセプトは確か “筆記具のペンのように普段から持ち歩けるカメラ” だったように覚えています。今でこそカメラは小型化されていますが、『オリンパスペン』が発売された’50~60年代においてはそのサイズは画期的であったに違いありません。

時は流れデジタル時代となり、PENの立ち位置はこれを執筆している現在でも現行品である『PEN EP-7』のように女性や若い方々、ライトユーザーをターゲットとする方向であったり、その反面コンパクトながらもクラシカルでスタイリッシュな『PEN-F』のようにカメラ好きの心を揺さぶるような方向であったりと、時代のニーズに合わせて柔軟に変化しているようにも感じます。

そんな中、今回新たに発表された最新のPENは、2021年にオリンパスのカメラ事業が『OMDS』に譲渡されてから初めて登場するPENということになります。

『OM SYSTEM PEN』のスペック

それでは発表されたスペックを簡単に触れてみましょう。
比較対象として現行機種でもある『PEN EP-7』を並べて見てみましょう。

主な仕様 OM SYSTEM PEN

OLYMPUS PEN EP-7

発売 2026年10月 2021年6月
撮像センサー 4/3型Live MOS センサー(有効画素数2037万画素) 4/3型Live MOS センサー(有効画素数2030万画素)
記録画像形式 JPEG RAW(12bitロスレス圧縮) JPEG RAW(12bitロスレス圧縮)
手振れ補正 あり 5軸(中央5.5段、周辺4.5段) あり 5軸(4.5段)
ファインダー 236万ドットOLEDビューファインダー なし
モニター 3.0型2軸可動式(バリアングル)104万ドット 3.0型チルト式104万ドット
AF方式 イメージャ位相差AF/イメージャコントラストAFの併用 イメージャコントラストAF
ライブND あり(ND2/4/8/16) なし
ハイレゾショット あり(手持ち、三脚) なし
USB USB Type-C USB Micro-B
使用電池/撮影可能枚数 BLS-7/約410枚 BLS-50/約360枚
外形寸法 125.8mm(W)×74.5mm(H)×43.3mm(D) 118.3mm(W)×68.5mm(H)×38.1mm(D)
質量 約393g(バッテリー、メモリーカード含む)、344g(本体のみ) 約337g(同)、約289g(同)

まず大きな違いとしてEVFが搭載されたことでしょうか。それまで『PEN-F』以外では搭載されなかったEVFが今回の新しいPENには搭載されています。このことからも推察されるようにこの新しいPENは『PEN-F』に近いコンセプトであることが窺えます。気軽にサクサクとテンポよく撮影するライトユーザーだけでなく、ファインダーを覗いてしっかりと撮影を楽しみたいというユーザーにもアピールできるポイントです。ファインダーを覗いて撮るという行為はスマホには無い撮影体験ですので、スマホよりももっと本格的な撮影を楽しみたいエントリー層向けとも言えるでしょう。

もうひとつ大きな点としては背面液晶モニターがチルトタイプからバリアングルタイプへと変更されていますが、このあたりも実は『PEN-F』を受け継ぐものです。チルトが良いか、バリアングルが良いかはもちろん使用者の使い方によるところが多く、筆者なんかは完全に写真の人間なのでチルト液晶の方が好みではあります。

AF性能は当然ながらアップデートされて、コントラストAFのみだったものから位相差AFを併用する方式になったことで、きびきびとしたフォーカス性能が期待できます。そのほか上位機種にあったライブND機能やハイレゾショット機能も入っていて、いままでのライトなイメージのPENから本格的な機能を盛り込んだスペックの高いカメラに仕上がっている印象です。そのためか、若干重量が重くなっておりますが、このくらいの重量差は誤差の範囲と言えると思います。それよりも外寸が大型化している点が手に持った時に大きな違いを感じると思われます。

その他、細かな点としてはシャッタースピードの最高速は1/4000秒ですが日常使いであればなんの問題もなく、ライブNDが内蔵されていることを考えれば必要にして十分でしょう。また専用バッテリーもこの機種の発売とともに新型の『BLS-7』が用意され、撮影可能枚数が上がったということで、このあたりも新しいPENに対するメーカーの意気込みをひしひしと感じます。

昨今とくに人気のあるフラットトップでレンジファインダーを彷彿させるクラシカルなデザインを眺めていると、『EP-7』というよりは『PEN-F』の後継機種に近いイメージに筆者は感じます。

レンズ交換式コンパクトデジタルの名機『PEN-F』

筆者は日常的に写真を撮るタイプの人間ではなかったということで手放してはしまいましたが、2016年にリリースされたレンズ交換式コンパクトデジタル『PEN-F』は素晴らしいカメラではなかったかと思っています。そのクラシカルなスタイルが凝縮されたコンパクトなレンズ交換式カメラはありそうでなかったですし、背面モニターが見えづらい日中の野外でも、ファインダーを覗いて撮影できる点は『GR』にはない魅力にも思えて中古購入したのを覚えています。

精鍛なデザインの『PEN-F』

所有欲を満たしてくれるカメラ

ではなぜ手放したかと言いますと、コンセプトも含めて撮影していて若干の “ギクシャク感” があって、それがだんだんストレスになったからです。このあたりは完全に使用者個人とカメラの相性だけの問題なのでここでは詳しくは書きませんが、手放した今でもやはり良いカメラであったなと振り返ることができますし、なにより筆者がもっと日常的に写真を撮る人間であったら今でも継続して使っていたと思います。

※『PEN-F』で2024年の夏に撮影したスナップ写真スライドはこちら↓


Tokyo Mono-Logue|TenMa YouTube

このカメラがディスコンとなって久しいですが、その後にこの路線の正統的な後継機種は今の今まで無かったかと思います。あの往年の名機、1968年に発売された世界初のハーフ判一眼レフカメラ『PEN-F』を彷彿とさせるデザイン、撮っていないときでも目で楽しめる、所有しているだけでワクワクするカメラというものはいつの時代も名機として残ってきました。

そんな中、この新しい “OM SYSTEM” として初の『PEN』が出てきたわけですから、期待するなというほうが無理というものです。

『4:3』の心地よさ

フォサーズ (マイクロフォーサーズ) 規格のセンサーの特徴として、35mm判やAPS-C判などの『3:2』ではなく『4:3』というアスペクト比の写真が撮影できる点です。筆者が現在使っているフジのGFXもそうですが、この『4:3』というアスペクト比が撮影していてとても心地よい比率に感じます。この比率に慣れてしまうと『3:2』の比率が横長 (または縦長) に感じてしまい、フレーミングに悩む場面がときおりあります。特に縦位置のときにそれを強く感じ、逆に言うと『4:3』では縦位置の写真を多く撮るようになったように筆者自身は感じます。

かつてフィルム時代は写真の縦横のアスペクト比の規格は数多くありました。中判フォーマットとして『1:1』や『6:7』、『4:3』、更にはさらには横長のパノラマ規格も存在していました。もちろんデジタルのいまは撮影した画像を後から編集で如何様にもトリミングして比率を自由に変えることは可能です。しかし撮影後にポストプロダクションで変えるのと、撮影中にファインダーやスクリーンを介して世界をそれぞれの比率で見ながら撮影するのとでは大きく異なります。つまりその比率ごとにフレーミングも変わる側面もあったわけです。もっと言えばカメラを通して世界の見方が変わる、とまで言えるかもしれません。



新ズームレンズ『M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 Ⅲ』

さて、新型PENの発表とともに新型のズームレンズも合わせて発表されました。キットズームとしても設定されることになる『M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 Ⅲ』です。
こちらも簡単に仕様を確認してみましょう。

PENと合わせて発表された新型標準ズームレンズ

『M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 Ⅲ』の仕様

発売 2026年10月
焦点距離 14-42mm (35mm判換算約28-84mm相当) F3.5-5.6
レンズ構成 7群8枚 (非球面レンズ3枚)
防塵防滴機能 IPX100 (OMDS社の防滴ボディと組み合われたとき)
手振れ補正 なし
最大撮影倍率 0.26倍 (14mm) / 0.19倍 (42mm)
絞り羽 7枚 (円形絞り)
フィルター径 Φ46mm
外形寸法 Φ60.0×50.5mm
質量 125g (フロントキャップ、リアキャップを除く)

小型軽量な新型PENにとてもマッチするこちらもコンパクトで軽量な標準ズームレンズです。特に重量は125gとパンケーキ型の単焦点レンズ並みの軽量さは特筆すべき点です。前モデルであるⅡ型は2010年にリリースされたこともあって、この15年でどの程度の画質向上が見られるのかが期待されます。スペック的にはⅡ型と全く同じですし、レンズ構成図も今となってはサイト上にて確認できませんが、最大撮影倍率が向上していることから何かしらのレンズ構成 (配置) の変化があると推測されます。

広角端にて最大撮影倍率は0.26倍となっており、これは35mm判換算で0.53倍相当となりハーフマクロの領域。テーブルフォトや小さな被写体に寄って大きく写せるという魅力があります。標準域はこれ1本と明るい単焦点レンズが1本あれば様々なシーンを撮影することができると思います。

価格も単体で4万円台と安価に購入できるうえに、防塵防滴設計ということで急な雨や水濡れにも安心して使えるズームレンズとなっています。


OM SYSTEMの名の下、新たな船出を切った “PENシリーズ”。
いまは空前のコンパクトカメラブームと言えるのでライバル機種はたいへんに多いジャンルですが、この新しいPENがまたひとつ、市場に一石を投じようとしています。
注目度も高く予約も好調とのことらしく、実際に正式発表された翌日にはお届け遅延に関するアナウンスが公式からありました。
ミラーレス一眼カメラ「OM SYSTEM PEN」および関連アクセサリーお届け遅延のお詫び(PDFファイル)

フルフレームセンサーを搭載したカメラが市場に多く出回り、それがひとつのスタンダードとも言える昨今。この先マイクロフォーサーズ規格は縮小するのではと言われてもいますが、まだまだその存在価値は健在と市場を唸らせることができるでしょうか?

新たなPENを大きな期待をもって待ちましょう。