ここ最近いろいろと用事があったりで、山よりも都内に出かけることが多い日々。なかなか纏まった連休が取れないこともあって山へ撮影に行けない日々。あまりに撮影機会が空いてしまうと撮影感覚のようなものも鈍ってくることは2023年に肌で感じたことで、それならばとこの状況を逆手にとって今までまったくやってこなかった街歩きスナップでもやってみようかと急に思い立ちました。
そんなことで今回は先日、猛暑となった週末の月島周辺から有楽町までの撮り歩きです。
※このブログに載せきれなかった写真も含めて、3分程度のスライドムービーも制作いたしましたので、ご興味のある方はそちらも合わせてご覧いただければ幸いです。
マンネリとニヒリズム
長年楽しく撮影してきていたはずの山の撮影、山の写真、俗に言う“山岳写真”というものに対して画一的なマンネリを感じるようになってしまって個人的に少しばかり距離を置いてみたいと思うようになりました。つまり美しい見事な山の写真を鑑賞しても、どんなにすごい山岳写真を見せられても何の感動も湧きあがらないというのが正直なところで、ここは一旦これらから離れてみて、外野の一人として向き合ってみたいということです。
もちろん今後も都合がつけば愛すべき北アルプスや谷川連峰などの山々には歩きに行きたいと思ってはいますが、時間が作れないのであれば与えられた状況の中で何でも良いので撮影してみようと思うようになりました。
【過去記事】
⇒今後の撮影についての雑感(美、自然の生命力)
文化と風土
“東京”という街は被写体として実に興味深いテーマだと思います。
私は今まで美しい自然や牧歌的な風景を好んで撮影してきましたし、四季のはっきりした日本においてその移ろう瞬間には実に美しいものを感じ、反面無機質とさえ感じていた街の光景(特に東京はそれが強い)というものにはあまり興味が湧きませんでした。
しかし改めてこうやって街を撮り歩いてみると、その行為は土地土地の“文化”や“風土”を写真に収めることなんだと思えるようになって、自然を相手にする撮影とはまた違う面白さを感じました。
それにスナップ撮影というものは個人的に苦手で、それは今までは美しい風景を前にして三脚を据えてどっしり構えるというスタイルばかりだったことも原因ではないかと思います。この機会にもう少しスナップ撮影というものを勉強してみよう、上手な方々の写真を鑑賞して吸収してみようと思っています。
月島周辺~築地~銀座~有楽町
今回は“もんじゃ”で有名でもある月島周辺を築地大橋~勝鬨橋と渡って散策し、築地から銀座、そして有楽町へとぶらぶら歩いて撮影しました。山と違って疲れたらカフェで休み、腹が減ったらその辺で食事をして、雨が降ったらどこかで雨宿りして、と実にゆるい平和な街歩き具合が今の私には合っているかもしれません。ただ今回は静岡県が40℃を記録した週の週末、あの灼熱の7月初旬の頭がクラクラするような環境でしたが…。
撮影して感じたのはこのありきたりな“日常”をどのように切り取って“自分の写真”と呼べる写真に昇華させるか、という難しさでした。「ただ撮っただけ」とか「ただの観光写真」と言われないためにはどのように撮影すればよいのか、この辺りがスナップ撮影の難しさ(楽しさ)かもしれません。美しい山岳風景を目の前にして、ただ撮ればそれが美しい山岳写真になっていた今までとは違う難しさというか。
使用したカメラ
街をぶらぶら歩きながらの撮影ということで、もちろん街を歩いている方々も多くいらっしゃいますし、カメラを向けられるのを好まない方々も多いでしょうから、あまり大きな目立つような機材は相応しくないし、サクッとスナップで撮影するならばやはりコンパクトなカメラが良いであろうと、今回は下記のような機材で撮影しました。
オリンパス(現OMデジタルソリューションズ)の『PEN-F』(デジタル)
パナソニックの『LUMIX G 20mm F1.7ⅡASPH.』(35mm判換算40mmの単焦点)
オリンパス(現OMデジタルソリューションズ)の『OLYMPUS 35SP』(35mm判フィルム)
『PEN-F』はコンパクトな筐体のマイクロフォーサーズ機なのでGFXが苦手とする取り回しの良さや、近接撮影をこなしてくれるサブ機として最近好んで使用していますが、何より『4:3』という画像アスペクト比がGFXと同じということもあり、とくに縦位置撮影では35mm判フォーマットよりも構図が取りやすく感じ、とても気に入っています。
一方『35SP』は操作性の良いレンジファインダー式のフィルムカメラで、この手のスナップ撮影でこそその真価を発揮してくれるカメラです。プログラムオートだけでなく、マニュアルでの撮影もこなしてくれるので自分なりの画作りも可能です。
私はとくにオリンパス贔屓というわけではないのですが、デジタルもフィルムもたまたまオリンパス一色になりました。メインで使用した『PEN-F』はモノクロ設定で、『35SP』にはカラーネガ(コダックColorPrus 200)を装填して撮影しました。(本記事には『PEN-F』のみ掲載)
撮影してみて感じたこと
撮影してみて感じたのは、やはりモノクロスナップは楽しいということ。
そしてフィルムでの撮影もその場では撮像の確認ができないこともあって、撮影していて現像後の楽しみがあるという心持の大切さを改めて感じました。
とにかくこの日はざっくりとスタートとゴールの駅だけを決めておいて、あとは適当にぶらぶらと街を歩いて、気になったものに出会ったら足を止めて撮影、また歩き出すを繰り返していきました。
撮影したのは決して美しい自然風景ではないし、もちろん絶景でもない。
今までのように朝焼けや夕景でもないし、幻想的な光景でもない。
この周辺に住んでいる方なら毎日のように目にする、ごくごくありふれた日常の光景。
しかし特に強く感じたのは、実はこんな普段の見慣れた光景でも写真に収める行為自体の純粋な楽しさ。
少しお金はかかるかもしれませんが、今後はサブとメインを入れ替えて、フィルムをメインとして撮影してみたいとの思いもありますし、なんならフィルム機のみでも良いとも思っています。それは撮影自体が山岳地帯と違って難なくできる日常だからこそ、そのような(今となっては)非日常的な “フィルム” というツールで撮ってみたい、という感覚でしょうか。
フィルムは現像に時間もかかるし、ネット上に掲載するならば何らかの方法でデジタル化しないといけませんが、そもそも私にとって速報性というものは必要ないわけで。このブログも今まで速報性自体無かったですし、SNSはもう止めてしまったので、今後はマイペースで作品作りをしていけば良いと思っていますからフィルム撮影をもっと増やしていきたいと考えています。
今回の記事は以上になります。
最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。