去る2026年8月下旬にリコーイメージング株式会社からハイエンドコンパクトデジタルカメラ『GR』シリーズの最新モデル『GR Ⅳx』の開発発表がありました。昨年2025年9月に発売された『GR Ⅳ(35mm判換算28mm)』の35mm判換算40mmバージョンと考えてよろしいかと思います。
前モデルでも『GR Ⅲ』と『GR Ⅲx』という焦点距離の違うレンズを搭載してラインナップされていたことを考えると、『GR Ⅳ』が登場した時点で、いずれこの『GR Ⅳx』が登場してもおかしくはないと思われていましたし、その正式発表を心待ちにしていた方も多いかと存じます。

開発発表された『GR Ⅳx』
発売時期は今冬以降の予定となっており、価格は現時点では未定となっています。
詳しくはリコーイメージング公式発表ページをご覧ください。↓
ハイエンドコンパクトカメラ「GR Ⅳx」の開発について|RICOH IMAGING
小さな巨人『GR』
軽量コンパクトなスナップシューターとして不動の人気と、その唯一無二の存在感は『GR』シリーズが始まってから今の今まで衰えたことがありません。実際のところ、特に近年では前モデル『GR Ⅲ』をはじめとした派生モデルはどれもそれこそ長らく世界市場から引く手あまたであり、正規ルートで手に入れるためには販売店や公式のオンラインショップにおいて抽選を勝ち取って初めて手に出来るような、今ではそんな “手に入りにくいカメラの代名詞“ となっています。他メーカーの人気機種も含めて、撮影機材というのはこれから本格的に始まるといわれる世界規模の “物不足” を暗示しているのではないかとさえ感じます。
筆者自身はいわゆる『GR使い(GRist)』ではなく、そもそも今までこの『GR』シリーズ自体を手にしたことすら無く、この新たな開発発表に関しては実のところ門外漢なのですが、そんな筆者でさえこのポケットに忍ばせられるほどのコンパクトボディながら高画質に写真を残せる “小さな巨人” は常に気になる存在です。
それでは正式な開発発表と同時に公開されたスペックを軽く確認してみましょう。
『RICOH GR Ⅳx』の主な仕様(開発発表時点)
| 発売 | 2026年冬以降 |
| 焦点距離 | f=26.1mm (35mm判換算約40mm相当) F2.8~F16 |
| レンズ構成 | 6群8枚 (非球面レンズ3枚) |
| 有効画素数 | 約2,574万画素 |
| 手振れ補正 | あり(5軸の撮像素子シフト方式) |
| 内蔵メモリー | あり(約53GB) |
| 撮影距離範囲(レンズ先端から) | 標準:0.2m~∞ マクロモード:0.12~0.24m |
| NDフィルター | あり(オン、オフ、オート) |
| 画像モニター | 3.0型TFTカラーLCD(約103.7万ドット) |
| 使用電池 | DB120(充電式リチウムイオンバッテリー) |
| 撮影可能枚数 | 約250枚 |
| 外形寸法 | 109.4mm(幅)×61.1mm(高)×33.4mm(厚) |
| 質量 | 約265g(バッテリー、メモリーカード含む)、231g(本体のみ) |
基本的なボディ性能は『GR Ⅳ』と同じで、搭載レンズが違うのでそのあたりで若干質量や外形寸法が違いますが、誤差の範囲と言えるでしょう。なにより内蔵メモリーのストレージが『Ⅲ』の約2GBから約53GBへと大幅にアップしており、画素数を考えればこのくらいの容量であれば外部メモリーは必要ないという方もいらっしゃるでしょうか。個人的には光学系にEDレンズ等の特殊低分散ガラスを使用して色収差を徹底的に排除してほしかったなとは思っています。(『GR』はカラーフリンジが出やすいという個人的印象があります)
他の追随を許さないほどの圧倒的な軽量さとコンパクトさ、そしてその起動の速さは言わずもがな、スナップシューターとしてあえて過度な高画素化に踏み込まずに進化していることも理にかなっていると言えます。とくにレンズ付きのコンパクトカメラとしては大型のAPS-Cセンサーや手振れ補正機能を搭載しているにもかかわらず、重量300g以下というのは驚異的としか言えません。そのなかでも『GR』のひとつの弱点でもあったバッテリーは『Ⅲ』で使用した『DB110』から『Ⅳ』では『DB120』に変更され撮影可能枚数は50枚ほど多くなりましたが、それが体感的にどのような差を持つか、残念ながら筆者にはわかりません。
御承知の通り、すでにノーマルの『Ⅳ』登場以来、『HDF』や『Monochrome』が派生モデルとしてリリースされています。ここに焦点距離の違う『Ⅳx』となれば、まさに隙の無いラインナップとなるのではないでしょうか。
28mmと40mm
それにしても前モデル『Ⅲ』もそうでしたが、この『28mm』と『40mm』という共にとても使いやすい換算焦点距離を揃えてくるところはさすがと言うほかありません。スナップにおいてこのふたつの焦点距離があれば撮りたいものをどのような表現で写真として残すか、すべて賄えてしまうような気がします。筐体がコンパクトなだけに焦点距離別に2台持ちされているユーザーも多い印象です。
『28mm』は多くのスマートフォンのカメラに搭載されている焦点距離でもあり、撮りたいものをパッと撮ったときにそのすべてを収めることができると言われる万能な焦点距離です。『24mm』ほどパースがきつくなく、しかし目に入ったものすべてが収まる広角域です。しかし例えばテーブルフォトや足元の小さな花といった被写体に寄って撮ると独特のパースを感じます。
それに対し『40mm』はもう少し意識して物を見たときの視野に近い画角であり、同じところから撮影したとしてもカメラのアングルによって様々な切り取り方ができる、こちらも万能な焦点距離と言えます。昔のレンジファインダー型のコンパクトフィルムカメラの多くはこの辺りの焦点距離のレンズを搭載していました。標準レンズというと『50mm』というイメージがありますが、例えば “ピッカリコニカ” でお馴染みの世界初のストロボ内蔵のコンパクトフィルムカメラ『KONICA C35EF』には38mmの、我が愛機のひとつである『OLYMPUS 35SP』には42mmのレンズが搭載されていました。『40mm』は被写体に寄って撮影してもパースは感じにくく、被写体が周辺方向に伸びることがないのもこの焦点距離の良さでもあります。
不遇なる筆者のコンパクト機
ここからは個人的な話しです。
たびたび筆者もGR的な立ち位置のカメラを持っていたことがありましたが、結果的には現在はすべて手放し、1台も持っていません。
過去に使っていたコンパクトデジタルは主に以下の2機種です。
● FUJIFILM X100V
日常使いではなく、例えば登山等で大型のカメラの他に小回りの利くコンパクト機をサブとして持っていっても、個人的に撮っていて楽しい思えるのは筆者の場合はコンパクト機ではなく、やはり握りやすいグリップのある操作性の良い大型のカメラで、きれいなファインダーを通して世界を見、しっかりと構えて撮るという一連の “体験” が伴うような撮影。
そう、言わば結局のところ、
もちろんコンパクト機は良好な撮影体験が得られないということではありません。くどいようですが、あくまで筆者自身の主観によるところで、もっと言えば筆者はミラーレスカメラよりも一眼レフカメラで撮っていた頃の方が撮影する喜びみたいなものを感じていたなぁと思えるのです。
ですからそんな筆者からすると『GR』を常に持ち歩くような方は本当に “写真” が好きな人たちなんだなぁとつくづく思うのです。筆者は “写真好き” ではなく典型的な “カメラ好き” なのかもしれませんね。そのあたりの感覚のズレが『GR』になかなか手が伸びない理由なのかなと自己分析しています。
さて話を『GR Ⅳx』に戻しましょう。
この『Ⅳx』が発売されれば『GR』シリーズはしばらくは安泰と言える強固で隙のないラインナップとなると思います。ノーマルの伝統的な28mm『Ⅳ』、ハイライト部のにじみを表現可能な『HDF』、モノクロ撮影に振り切った『Monochrome』、そして新たな40mmの『x』。
『Ⅲ』から『Ⅳ』へは性能、デザインともに気を衒わない堅実な進化となったことに私は大きな意味を感じました。つまりそれはすでに『GR』はコンパクトカメラとして完成の境地に達しているということです。
今冬予定といわれる『GR Ⅳx』の発売を期待して待ちましょう。


